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ほんまにオレはアホやろか (新潮文庫 み 31-1)

ほんまにオレはアホやろか (新潮文庫 み 31-1)

ほんまにオレはアホやろか (新潮文庫 み 31-1)

作家
水木しげる
出版社
新潮社
発売日
2002-07-01
ISBN
9784101357317
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ほんまにオレはアホやろか (新潮文庫 み 31-1) / 感想・レビュー

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seacalf

言わずと知れた妖怪おじさんこと、水木しげる氏の自伝。幼き頃から豪放磊落で幼稚園にすら入れなかったという書き出しから唖然。とんでもなく規格外の人物の話は、とてつもなく面白い。勉強ができなくて色んな学校に入るもどこも中退。だが『ゲーテとの対話』を読み耽るのだから自分の欲する道はわかってる人。戦時下の異常時でも水木さんの視点はぶれない。歯に衣着せぬ語り口に感心。ラバウルのトライ族と密接な交流が出来たのも、40代頃までの極貧生活に耐えきったのもこの方ならではの価値観があったからこそ。手軽に読めて心に残る良い本だ。

2018/09/30

Y2K☮

再読。寝坊と落第と趣味の中で生きていた幼少期は笑って読めるが、戦時中やそれを挟む就職後の話は・・・ゴールの見えない壊れたジェットコースター。もがいてもがいて少し上がってもすぐ急降下。こんな苦痛と裏切りと理不尽だけの状況で生き抜けるものなのか。終戦時に南の楽園から帰国してくれたおかげで我々は一連の傑作を楽しめるのだが、水木さん的には若干悔いも残ったのかな。でもきっと楽園には楽園の苦労がある。どちらを選んでも粘り強い努力は必要に違いない。我が道を貫く逞しい生命力に憧れ、四十過ぎにやっと掴んだ成功に励まされた。

2015/12/03

十川×三(とがわばつぞう)

面白い。幼少期からトペトロ再会までの自伝。▼サラっと書かれているが,戦中,死の危機を何度も潜り抜けている。▼戦後苦労。アパート大家時代の話は面白い。紙芝居画家,貸し本漫画家,不遇時代は長い。その時培った実力があったからこそ妖怪達はイキイキと表現される。▼幼少期からマイペース。自然と生きる部族の生き方が合っていると思う。

2022/11/04

Y2K☮

水木さんは岡本太郎に似ていると思った(両者に接点があったのか気になる)。理屈を超えた大らかな生命力と型にはまらぬ強烈な個性。そして好きなものに熱中する際の爆発力。実際作品から受け取る印象はいずれも「キレイ」「心地良い」ではなく「何だこれは!」の荒々しいインパクトだ。作品以上に著者の人間性がユニークな点も一緒だし、集団生活が持つ歪んだ一律主義や時代の醸し出す全体主義に屈しないところも同じ。ただひとつ決定的に違うのは著者が長年味わった底なしの貧しさ。ここまで耐え抜いた人が報われるなら世の中捨てたものじゃない。

2022/03/16

シュラフ

会社の研修で人間の4つのパターンというのがあったが、この水木さんはそのどれにも当てはまらない。まったくもって規格外の人物だ。のんき人生もここまで徹底すれば、もはや"のんき道"とも言うべきで、なにやらその生きざまには哲学的な風格さえ漂っている気がする。もっともその人生は、戦争あり、極貧生活ありと大変であったはずなのだが、けっして絶望することなく、持ち前の"のんき"を武器に切り抜けていく。どんな逆風であっても、堪えていればやがて嵐は過ぎ去り、自分の風が吹いてくるのだから人生に絶望することはないのである。

2016/09/02

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