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グ、ア、ム (新潮文庫)

グ、ア、ム (新潮文庫)

グ、ア、ム (新潮文庫)

作家
本谷有希子
出版社
新潮社
発売日
2011-06-26
ISBN
9784101371726
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グ、ア、ム (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

私はグアムには行ったことがないのですが、これを読むと、もう金輪際グアムには行きたくなくなりそうです。グアムにあるまじき悪天候との設定ですが、それを割り引いてもなんだかキッチュで、世界の場末の観光地にしか見えません。こんなことを書いた本谷有希子さんは、グアムの観光協会から永久にグアムお出入り禁止を申し渡されたことでしょう。小説は実に軽快なテンポで、姉妹と家族の、本来は秘められた紐帯の秘密を、これでもかというくらいにあからさまに暴き出していきます。他に類を見ないなんとも面白い小説です。作家の才能を感じます。

2018/06/06

さてさて

『来週には母と、姉と、グアムに行かねばならない』。そんな言葉の先に、母親と娘二人の二泊三日の『グアム』旅行が描かれたこの作品。そこには、『グアムは生憎の雨だった』という中に、マイナス感情しかない、とほほな旅路の様子が描かれていました。なんとも危うい関係性を見せる姉妹と、それを取り持つ母親の姿が描かれるこの作品。『グアム』に旅したいという気持ちが完全に萎えるこの作品。細かなエピソード盛り沢山でやけにリアルに語られる『グアム』の旅路が故に、余計に『グアム』を醒めて見てしまう、摩訶不思議な位置付けの作品でした。

2023/12/07

ゴンゾウ@新潮部

相変わらずキレキレな本谷さん。ワーキングプア、ロストジェネレーションなど時代を反映した言葉が出てきてショッキングだった。同じDNAから生まれ同じ性別で同じ環境に育った二人の姉妹。年齢はたった4歳しか違わないがその差がまさしくロストジェネレーションか、非ロストジェネレーション。性格も価値観も正反対。そして二人の間でおろおろする折衷型の母親。三人の初めてのグアム旅行で事件が起こらないわけがない。三人のあやうい均衡で成り立つ旅の様子が突拍子もなく面白い。あっという間に読んでしまいました。

2017/10/31

hit4papa

堅実な妹、ゆるゆるの姉、二人の間で右往左往の母。三人のついていないグアム旅行の数日間を描いた作品です。幼い頃から仲が良いわけではない4つ違いの姉妹は、長じてからもシラケ切ったような冷戦状態。せっかくの海外旅行の上手くいくはずがなく、くわえて行く先々で厭な目にあってしまいます。なんとも笑えるお話しじゃありませんか。あちこちにばらまかれた小さなエピソードが、肝心なところでピリっと効いてくるような細やかさに感心してしまいました。ちょいちょい顔を出す、実家に居残りしている父親のボケのかましかたも微笑ましいですね。

2018/09/25

なゆ

前半はフリーターの長女とそれを反面教師に堅実に就職する次女のそれぞれ置かれている状況、そして後半が母娘の女三人グアム珍道中なのだ。せっかくのグアムなのに、姉妹は気が合わないわ体調不良や悪天候でもうハラハラ何が起こるやら。二人に気をつかいながらもマイペースな母親と、留守番で3人を心配する父親が、それぞれいい味出しつつホッとする。ロスジェネ世代やワーキングプアなど時代を感じさせる言葉たちや、姉妹それぞれの世代で感じる生きづらさなど考えさせられる部分もありながら、まだまだ続きそうなこの旅の続きが気になるっ!

2015/03/03

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