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デミアン (新潮文庫)

デミアン (新潮文庫)

デミアン (新潮文庫)

作家
ヘッセ
高橋 健二
出版社
新潮社
発売日
1951-12-04
ISBN
9784102001028
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デミアン (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

この小説は、第1次世界大戦中に書かれている。物語は、主人公のシンクレール10歳のエピソードに幕を開け、青年となった彼が従軍し負傷した場面で幕を閉じる。その時期はドイツにとっても、そしてヘッセ自身にとっても大きな転換点とならざるを得なかった。作風も大きく変容したようで、抒情をあえて捨てて思索的なものになっている。ただ、その思索はきわめて西欧的な二元論に立脚し、また弁証法的である。そして、そのことがますます抒情を遠いものにしているとも言える。もっとも、処々にはニーチェが暗い影を落としており、不安が全篇を覆う。

2015/04/23

のっち♬

明暗二つの世界を揺れ動きながら、主人公がデミアンの手引きにより真の自己を追求していく。主人公から見た世界や彼の精神的葛藤・成長が美しく静かな文体で、幻想的かつ叙情的に描かれており、精神分析や東洋哲学も交えながら、著書の深い精神世界が垣間見れる。「すべての人間の生活は、自己自身への道」「どんな人もかつて完全に彼自身ではなかった」その道は苦しく、卵の殻を破るのは困難がつきまとうが、肝要なのは、「任意ではない自己の運命を見いだし、それを完全にくじけずに生きぬくこと」だ。もっと自由に、変化を恐れずに夢を見出そう。

2019/03/31

ehirano1

「孤独のチカラ(齋藤孝)」の参考図書の1つに挙げられていたので早速読む。「孤独のチカラ」の参考にするつもりが、そんなことよりも著者自身が必死になって自我と取り組んでいく様がバシバシ伝わってきます。そういえば「孤独のチカラ(齋藤孝)」でも必死になって自我と取り組んだ故の”孤独のチカラとはなんぞや”でした。 「シッダールタ」「荒野のおおかみ」「知と愛」と著者の自我への追及は続くようなのですが、さて著者の結論は如何に?楽しみです。

2016/02/01

優希

内面の奥底までに至るような作品でした。心にもない嘘をついたことに苦しむシンクレールの前に現れ、救ってくれた友人・デミアン。デミアンの世界は暗く闇に包まれており、シンクレールが憧れる世界というのが悪魔の甘い囁きのように見えました。真の自我を追求しながら明暗をふらつくシンクレール。流れ行く思想の中で、シンクレールが自己の境地に達したとき、その心はデミアンとシンクロしたようでした。物語の根底に流れる善悪を考えさせられる衝撃作です。

2016/02/16

ケイ

中学時代に何度も読んだ。シンクレールが到達しようとしたのは結局何かと悩み考え、自分自身にもデミアンのような導き手が欲しいと痛切に願ったものだ。かなり読み込んだため、成人になってからは、かえって気恥かしさを覚える本となった。思春期に訪れる親への失望や反抗の物語とともに、人は何故生まれるのか、どう生きるべきかという命題をシンクレールがデミアンとの関わりによって追求していく話だ。カインとアベルや、キリストとともに磔となった泥棒の話などキリスト教的色合いも濃いのだが、突き詰めれば人生についての探求であると思う。

2014/09/11

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