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クヌルプ (新潮文庫)

クヌルプ (新潮文庫)

クヌルプ (新潮文庫)

作家
ヘッセ
高橋 健二
出版社
新潮社
発売日
1955-04-01
ISBN
9784102001059
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クヌルプ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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「あそこ」を「あすこ」と表すほどの古めかしい翻訳で、正直ちょっと読みにくかったのだけど、ヘッセらしさがすごく漂う内容だったと思う。何にもとらわれずに自由気ままに旅をするクヌルプという男の、心の奥に孤独がちらついて、なんとなく1羽はぐれた渡り鳥を思った。引用すると文字数足りなくなるので省略するけれど、自然と人生の中の美しさや魂についてのセリフの数々がものすごく共感できたし、いつまでも印象に残っていて、それだけでこの本を読んで良かったと感じることができた。

2014/08/07

aika

流浪の芸術家クヌルプが過ごすドイツの田舎町の情景が本当に美しく、心のふるさとがそこにはありました。ページをめくると、ドイツに行ったこともないのに、なぜだか故郷に帰ったときのように懐かしく、ほっとした気持ちになりました。ものすごくセンシティブで、心の傷が癒えず、終始孤独だけれど、ありのままの自分を受入れる、クヌルプの達観した寛容さに、ああ、私もこのままでいいんだ、と肯定してくれるような気持ちになります。短いお話なのに、長編のように彩り豊かに紡がれていて、また手にとりたく思いました。

2017/08/28

びす男

漂白を続けるクヌルプのような生き方はできないし、したくない。しかし、少し憧れるし、訪ねられた友人たちはちょっぴり幸せになる。居所が定まらない生き方は、なんとなく新聞記者そっくりだなと思った。人の生涯に、ちょっとだけ顔を出す職業である。せめてその「ちょっと」が、幸せで愉快なものとして記憶されたら嬉しいな、とクヌルプの佇まいを見て思った。

2016/02/27

seacalf

ヘッセの入門編としておすすめの作品。いかにもヘッセらしく情景や生き生きとした人物達、輝く子供時代の幸福感への賛美などが、大変美しく描かれている。短編でもあるのですんなり読める。解説等で語られている芸術家としてのクヌルプについてはあまり興味がないが、彼のような浮世離れした一面を持つ人は周りにもいるのではないだろうか?そして、自分自身の中にも。久しぶりに読んだヘッセは、とてもしっくりくる。非常に読みやすく、すーっと世界に入り込める心地好さがある。かつて夢中になった他の作品を再読するのが改めて楽しみになった。

2017/03/14

康功

何か現在の自分が読むべくして読まされた感がある。人が生きていく上で味わう孤独、人生の意味を、ヘッセの人生になぞらえて小説にしている。クヌルプの人生の決断は、純粋でぎこちない。世の中を上手く立ち回る計算高い人からみたら、不器用極まりないタイプ。しかし、神様は死に行くクヌルプに、クヌルプらしい素晴らしい人生だったよと、 告げる。それぞれの人生や生き方は、成功も失敗もなく、その人らしい物であれば、それが正解なんだとヘッセが神様の言葉で語ってくれた哲学を含んだ良書であった。自分らしい人生を送りたいと思った。

2017/05/10

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