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シッダールタ (新潮文庫)

シッダールタ (新潮文庫)

シッダールタ (新潮文庫)

作家
ヘッセ
高橋 健二
出版社
新潮社
発売日
1959-05-04
ISBN
9784102001110
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シッダールタ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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HIRO1970

⭐️⭐️⭐️佐賀出張時。やはり歴史年表に出てくるレベルの文学者の作品は読む価値がありますね。何故敢えて表題(出家前の名前)にしたのか気になって手に取りました。私自身高校が仏教系であったこともあり、既に頭の中には既存の概念(覚った人)の方のイメージが強く、手塚治先生の作品でもビジュアル的に刷り込みが強くされておりましたが、第一次大戦直後の古い作品とは思えない新しい表現に触れ、全く違う切り口で抽象現象を具象化しているすごく意欲的な作品で驚きました。教訓と含蓄に富んだお話の数々は現代でも変わらず通用します。

2016/01/22

新地学@児童書病発動中

主人公のシッダールタが様々な苦しみを経験しながら、人としての真の成熟に一歩一歩近づいていく物語。素晴らしいと思うのは、聖の世界だけではなくて、俗の世界も描かれて、その中で彼がもがき苦しむ点だ。恋人のカマーラとの最後の逢瀬の後で性愛と死が隣り合わせであることを悟る場面や、自分の息子への父親としての愛情を断ち切れない場面は、俗の世界の苦しみや悲しみを端的に表現して胸に迫る。この世に生きながら、この世を超えて、この世の善も悪も全てを受け入れる最後の場面は、読者の心に自分の人生を力強く肯定する力を与えてくれる。

2015/11/08

のっち♬

求道者の悟りに至るまでの苦行や経験。「知る必要のあることをすべて自分で味わうのはよいことだ」知恵は伝えることが出来ない。罪、歓楽、虚栄、努力、絶望、形あるものの無情さや人生の苦悩を体感し、自我の中の源泉へ自由に心を開いていく。執着と衝動の沈黙は、時間を超越した本質を奥底から覚醒させる。「世界は瞬間瞬間に完全なのだ。あらゆる罪はすでに慈悲をその中に持っている」所々で詩的な表現を交えた独特の文体で、川の流れから境地を見出す場面やラストシーンは静かで深い感動をもたらす。著者の真摯な生き方が提示された濃密な作品。

2018/05/14

れみ

シッダールタは仏陀こと釈迦の出家前の名前。だけどこれは釈迦ではないある求道者の悟りへ至るまでの物語。ヘッセの作品は初めてだったけど独特のリズムや心情や情景の描写と言葉の美しさに引き込まれた。子どもを愛するがゆえに縛り罰してはいないか、というところとか…ハッとさせられるところもたくさんあった。悟りがどんなものでそこへどんな道のりをたどってたどり着くのか…それは人間がひとりひとりみんな違うように違うんだろうなあ。

2017/04/08

Gotoran

シダールタが真の悟りに達するまでの紆余曲折の過程を、シッダールタの悩みや苦しみを含め、丁寧に描かれた作品。深く探究されたインド哲学を基に組み立てられたヘッセ独特の自己を深く掘り下げた心理的描写が巧みな文章は、単純で美しく含蓄に富んでいる。また日を改めて、何度でも、味わってみたい、ヘッセの心理探究の過程を。

2011/08/02

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