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メルヒェン (新潮文庫)

メルヒェン (新潮文庫)

メルヒェン (新潮文庫)

作家
ヘッセ
高橋 健二
出版社
新潮社
発売日
1973-07-03
ISBN
9784102001172
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メルヒェン (新潮文庫) / 感想・レビュー

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Gotoran

ヘッセの創作童話集、『メルヒェン』。印象深いのは、やっぱり「アウグスツス」。“愛されることより、愛することの方が幸福である”という真の幸せに気付までが描かれた一人の人間、アウグスツスの一生。最後は名付け親に看取られながら幼い頃の清らかな感覚へと帰る、もの哀しくも感動的であった。愛されるが故の人の性、傲慢さと弱さ。謙虚さに気づき、愛することの大切さを悟る。NLPのスポンサーシップに結び付く。また、「詩人」、「アヤメ」他でも、ヘッセらしい、哀愁を帯びつつも、水晶のように澄んだ美麗な表現、描写に浸れる。

2011/09/29

emi

この世界にある美しいもの、清らかなもの、心が澄むようなもの。それらはなんと芯に置いたまま生きるのが難しいのだろうと、この短編集から感じました。ヘッセの創作童話は、奥深く読み手の内面を掘り下げていきます。理想と現実のギャップや、信じたものが間違っていたなど、生きるからこそ直面する苦悶。ゆえにヘッセ自身の苦しみが作品にあらわれてもいます。彼は常に考え続けたのでは…この矛盾だらけの世界の中のどこかに、真の揺るがぬ希望のような救いがあることを。言葉の美しさもですが、うたた寝から目覚めたような読後感が堪らなく好き

2016/06/18

マリリン

子供の頃読んだら違った感覚をもったかもしれないが、静寂な美しい風景の中に佇み、心を浄化されたような感を覚える作品集。愛を与える事の難しさを時間の中を彷徨うかのような情景の中で説いたかのような「アウグスツス」、ヘッセ自身が投影されたかのような「詩人」 既読のヘッセ作品とは味わいが違う「別な星の奇妙なたより」もよい。山が母のように思えた「ファルドム」は、ヘッセの母に対する想いを感じた。幻想的な「ビクトルの変身」も好き。 季節により読みたくなる作品が変化するが、ヘッセは秋に読みたくなるこの頃。

2021/10/05

活字の旅遊人

「童話」の「童」って、何歳くらいまでを指すのだろう? 解説に「おとなのためのメルヒェン」とあったが、少なくとも思春期青年期に経験し悩むであろうことが主題になっているように思う。ヘッセ作品は多くがそこに注目しているわけだが。九編収録だが、巻頭の「アウグスツス」が強烈に残ってしまい、他八編を味わいきれなかった印象。「アウグスツス」は心理実験というかサイコ系SFのような設定を持ちつつの、期待通りのヘッセ風。これは凄くいい。読み返したい。「別な星の奇妙なたより」「ファルドゥム」「アヤメ」が後に続くかな。

2022/05/19

penguin-blue

初めてヘッセに触れたのは小学校の図書室での子供名作全集『車輪の下』。内容もよく覚えていないのに、描かれた闇の部分が小学生には強烈だったのか何となくそこから敬遠していた。昨年同じような理由で避けていた太宰を読んで思いの外よかったので「食わず嫌い?克服」キャンペーン第二弾(笑)。寓話的な短編集で、淡々と紡がれる物語が美しく、かなり好み。何となく物哀しい、静かな透明感が八木重吉の詩に通じる気がする。特に「アウグスツス」「別の星の奇妙なたより」「ファルドゥム」が好き。来年は作風が違う別の作品にも挑戦してみようか。

2022/10/30

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