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朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

作家
ベルンハルト シュリンク
Bernhard Schlink
松永美穂
出版社
新潮社
発売日
2003-05-28
ISBN
9784102007112
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朗読者 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

ここでも何人かの人が指摘しているが、本書は読む前に抱いていたイメージと、読後のそれとの間には大きな隔たりがあった。例えば、これは青年の物語だろうと思っていたが、実は人生全体の物語であったり。タイトルの持つ意味も、読後には一層に深くなるようだ。最後の1文を読み終えた時の感慨には格別のものがある。ミヒャエルの困惑や煩悶は強いリアリティを持って読者に迫る。そして、ハンナの人生に対しては「では、あなたならどうしたか?」という問いに答えることができない。現代のドイツ文学ならではのこのテーマの持つ重層性は実に深い。

2012/11/30

遥かなる想い

15歳の僕が出会った ハンナとの物語。 ひどく残酷で心が痛む。 著者が「朗読者」という 題名にかけた想いとは 一体何だったのだろうか… ドイツにおけるナチスの 時代の罪は、過去に 犯した罪はどう償えば よいのか… 21歳の歳の差は、世代を 越えて、今の時代に生きる 人に、過去の犯罪を 伝える意義を表しているの かもしれない。 全編を覆う、無表情で 冷淡な展開は、逆に題材の重さを示している… そんな気がする物語だった。

2015/06/14

zero1

あなたならどうした?15歳の少年が出会った36歳のハンナは市電の車掌。「おいで」と性の手ほどきを受ける少年。二人はケンカや旅行をした。少年に朗読を求めたハンナ。しかしある日、彼女は姿を消した。それは何故か?再会したのは意外な場所だった。ナチスの犯罪と教育の無い世界の恐怖。「翻訳の純文学は売れない」ということを否定した本書の役割は大きい。戦争犯罪という面でも日本人に通じる部分があるはず。多くの人に読んでほしい名作。「愛を読むひと」として映画化。ハンナを「タイタニック」のケイト・ウィンスレットが演じた。

2019/05/21

この作品を映画化した『愛を読むひと』を観てから読んだ。なので映画で説明されてない部分がよくわかったし、映画がかなり原作に忠実なこともわかった。舞台は戦後のドイツ。20歳以上も歳の離れた女性と15歳の時に関係を持つ。そんな二人の始まりはナチスの強制収容所での話に発展し、予想を超える展開を迎える。なんともせつなく、いたたまれない読後感。真実の裏側にあるプライド、努力に垣間見る愛情、過去の秘密や思い出が人の人生をも変えてしまうということ。様々な想いが駆け巡り、250ページほどなのに3日もかかってしまった。

2014/10/10

扉のこちら側

初読。【23/G1000】かつて愛した女性がナチスの戦犯として裁かれる公判を傍聴するかつての少年。刑務所内でレーヴィやとりわけ難解なアーレントのナチス犯罪についての本を読んでいたという彼女の心中はいかばかりだったか。【新潮文庫の100冊2004】

2013/03/31

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