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逃げてゆく愛 (新潮文庫 シ 33-2)

逃げてゆく愛 (新潮文庫 シ 33-2)

逃げてゆく愛 (新潮文庫 シ 33-2)

作家
ベルンハルト シュリンク
Bernhard Schlink
松永美穂
出版社
新潮社
発売日
2007-01-01
ISBN
9784102007129
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逃げてゆく愛 (新潮文庫 シ 33-2) / 感想・レビュー

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metoo

7つの短編集。どの話も外国語映画賞脚本賞受賞作のよう。亡くなった妻に届いた手紙から始まる「もう一人の男」。ベルリンの壁崩壊後の東西人間模様を描いた「脱線」。絵を通して収容所やユダヤ人に纏わる父の暗い過去を紐解く「少女とトカゲ」。有能な女性と三重生活を送る多才な男性の飽くなき探求と転落の「甘豌豆」。ドイツ人青年とユダヤ人女性の一筋縄ではいかない恋の顛末の「割礼」。他に「息子」。「ガソリンスタンドの女」。どれも深く絡み合った植物のようで秀逸。

2014/12/10

ちえ

愛に関する7つの短編。「少女とトカゲ」「脱線」「割礼」過去の歴史が一人一人のドイツ人に与える影響の深さを思う。それにしても「割礼」はききもせず余りにも極端ではないだろうか。「もう一人の男」は最後に温かみを感じる作品。「甘豌豆」終始、ちょっとちょっと大丈夫なの?良いの?とこちらが焦りながら読む。一編一編時間を空けながらの読了となったこともあるかもしれないが、前半の作品のしんみりした読後感が、最後の「ガソリンスタンドの女」での身勝手さにめちゃめちゃ腹が立って、この本全体の印象が下がってしまったかも。

2023/08/20

まるっちょ

シュリンクはナチスドイツに取り付かれている。 それらを畏怖し、危惧しているがゆえに登場人物たちの心がすり抜けてしまう。 その畏怖さえなければ、私はこの作家をもっと好きになれるのに。 美しさに意味を見出す男を描いた「もう一人の男」、一人の神経質な男の転落を描いた「甘豌豆」。 好きなのは「少女とトカゲ」。余韻が残るのが好きだ。

2017/02/09

コーデ21

「朗読者」ベルンハルトシュリンク著の短編集。「朗読者」よりいっそう文章が怜悧で快い読後感でした☆ 「逃げていく愛」という意味深なタイトルどおり、ほの苦い物語が主。現実世界との齟齬感をもつ男のふがいなさ溢れる「甘豌豆」や、ミステリアスな趣きある「トカゲと少女」などなど、どれも裏側の裏、を感じさせる繊細な持ち味♪しびれました (//▽//)

2015/01/13

sabosashi

ニホンでは文学とは、青春の文学とだぶって認識されている場合が多い。  青春の文学となると甘さと自己憐憫が大手をふるう。  シュリンクは政治に翻弄されるなか、より正確に述べるなら、日々の暮らしで湧きあがってくる思いの中身を掬い取り、示してくれる。  常におなじ思い、おなじ暮らしが続くはずなのに、幸か不幸か立ち止まってしまうというところか。  それは、つまり生きてきたことを顧みるという意識であり、ふつうの若いひとたちには思いもつかない芸当の域に達していることがある。

2014/11/10

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