罪と罰〈上〉 (新潮文庫)
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高校時代、喫煙で停学中に出会ったドストエフスキー。今も色あせない思春期を彩った読書体験。橘玲さんの【私の愛読書】とは?
さまざまな分野で活躍する著名人にお気に入りの本を紹介してもらうインタビュー連載「私の愛読書」。今回、お話を伺ったのは2002年に金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎)でデビューして以降、『無理ゲー社会』(小学館)や『世界はなぜ地獄になるのか』(小学館)など、数々の話題書を手がけてきた作家・橘玲さんだ。高校時代、大学時代、社会人なりたての頃に出会った今なお色褪せない本の思い出を、語っていただいた。 (取材・文/カネコシュウヘイ)
■あの頃出会った本はいつでも思い出せる、鮮明な記憶に
橘玲(以下、橘):心理学用語の「レミニスセンス・バンプ」はご存じですか?
――いえ、どのようなものでしょう?
橘:「思い出(reminiscence)」の「突起(bump)」のことで、繰り返し思い出すような印象的な経験を意味する言葉です。誰でも同じだと思いますが、初恋や初体験など、鮮明な記憶はおおむね思春期~20代前半のものでしょう。年をとると刺激も薄れ、バンプ(「凸」の部分)は少なくなってくる。私にとってのレミニセンス・バンプも高校時代や大学時代に出会った本でした。
――今…
2023/9/7
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罪と罰〈上〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
absinthe
これほどまでに心の内面を暴いた話を知らない。わずか数日の描写で極限まで細密に描く。棒きれが置かれたままになっているか、見当たらないか。ある種の賭けを行う。殺すべきかやめるべきか。殺しはそれだけでは終わらなかった。善良な妹まで手を掛けなければいけなくなり、それが主人公を苦しめる。神はいるのかいないのか…。ドアが開く、そのとき何を感じたか、ただその瞬間のために何行かけて描写したのか。その細やかさに感動する。生涯の友の一冊。
absinthe
再読。今までに読んだすべての小説の中で一番好きなもの。主人公については他の方が繰り返し書かれているし、再読でもあるから他の事を書こう。主人公の心理描写の素晴らしい作品だが周辺人物の魅力も忘れられない。 女は女神で男はヘタレとでも書きたかったのか。知識はあるくせにだらしなく、思いついてはおかしなことばかりする男たちを尻目に健気に生きる女たちのなんと気高く美しいことか。ポーレチカはあの暗くて陰鬱な場面に咲いた可憐な花のよう。
2019/11/13
こーた
非凡な人間のまえに立ちはだかる障害を除くためなら、殺人さえ許される。第三部で展開される、青年ラスコーリニコフの殺人論。もしわたしが非凡人なら、罪を犯しても良心の呵責など感じないはずだ。青年は究極の実証実験を敢行する。老婆を斧で惨殺し、アパートから抜け出す第一部の描写は、さながら『ボーン・アイデンティティ』のような緊張感さえはらんで、鮮烈だ。青年はそれまで孤独だったはずなのに、殺したとたんに友人や親族、さらには見知らぬひとまで、続々とかれのもとへと集まってくる。そのことごとくがみな身勝手でウザすぎる笑。⇒
2018/07/24
れみ
その財産を世の中に役立てるためという名目のため高利貸しの老婆を殺す…貧乏な大学生ラスコーリニコフの計画は予期しなかった第二の殺人によって思いもよらぬ方向へ。臨場感や緊張感のある場面、乱高下する主人公の精神状態、様々な登場人物が次々と揃い、舞台は整った…とは思われるもののこの先の展開が全然想像つかない。主人公以外にも理屈っぽく話の長い人が多くてなんだか面倒くさくもあるけど下巻も頑張って読むか〜。
2016/09/12
のっち♬
「何千という善行によって一つのごみみたいな罪が消されると思うかね?」—独自の犯罪理論の元に金貸の老婆を殺害した貧乏学生ラスコーリニコフは想定外の殺人までしたことで恐怖と嫌悪に蝕まれていく。貧困に喘ぐ民衆の生活や心理の機微などは著者ならではの描写力。生活に行き詰まって身売りをする女性には本作の出版事情が重なって見える。「突っ放しちゃ、矯正はできんよ」「理論だけで自然を走り抜けるわけにはいかんよ!」といった訴えも服役生活で身に染みた著者の実感だろう。心の欲求と絶望から出てきた実存的な選択を見事に表現した傑作。
2018/09/01
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