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朝の少女 (新潮文庫 ト 15-1)

朝の少女 (新潮文庫 ト 15-1)

朝の少女 (新潮文庫 ト 15-1)

作家
マイケル ドリス
Michael Dorris
灰谷健次郎
出版社
新潮社
発売日
1996-12-01
ISBN
9784102023112
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朝の少女 (新潮文庫 ト 15-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

物語の舞台になっているのは、サン=サルヴァドル島、もしくはそのあたりの小さな島だ。物語の語り手は、朝の光の中で躍動する「朝の少女」と呼ばれる女の子と、満天のあるいは漆黒の闇を限りなく愛する彼女の弟だ。そこでは、彼らの暮らす時間もまた限りなく自由であり、彼らのいた地はいわばエデンの園であった。少女も弟も両親も祖父母も、限りなく無垢であり、そこには悠久の時間が流れていた。あの日が来るまでは。その朝の光景もいつものように輝かしく、朝の少女の心も限りなくピュアに描かれている。終章の不穏な気配、そしてエピローグ。

2013/05/21

mocha

現代文明とか学校とか余分なものをすべて削ぎ落とし、少年と少女の心の動きをくっきりと描いた物語。島の自然と一体となって生きる人々は、とてもシンプルで美しい。父母の愛情深い言葉には目を開かせられるようだった。そして唐突なエピローグ。彼らにとっても突然で思いがけないことだっただろう。人は文明と引き換えに大事なものをたくさん失ってきたのだ。やるせない思いで本を閉じた。

2018/07/08

モリー

灰谷健次郎さんの翻訳された本という事で手に取りました。二人の子どもが大人になろうとする姿が描かれています。後半まで読み進み、ようやく作者の提示した問題が見えてきたかように思えたのですが、最後の最後で、予想出来ない場面展開が待ち受けています。混乱し、消化不良のまま読了。訳者の解説を読んでもなを理解できない部分が残りました。いつか再読して読みを深めたいと思います。

2020/03/08

けろりん

森小屋に住むおじいさん詩人が、繰り返し犬に読み聞かせていた物語。どんなお話なのかと興味を持ちました。空と海に抱かれた常夏の島で育つ姉弟。姉は太陽と共に誰よりも早く起きる『朝の少女』、弟は暗闇の中に友人を見つけられる『星の子』。二人は、ただ優しく見守られる幼年期を脱し、して良いこと悪いことの分別を身につける年頃に差し掛かっています。導き手は豊かにして苛烈な自然。愛情豊かな両親の言動。時に諍い、恥をかきながら、相手を気遣い敬う心を育む姿に、天地とは、愛ある人の心とはそれだけで偉大な教師であると気付かされます。

2019/01/08

コジ

★★★★★ 未開と思われる地に「朝の少女」と呼ばれる少女と「星の子」と呼ばれる少年が居た。二人は姉弟。少女は日の出とともに家を出て一人自然と向き合うことで、少年は夜空を観測し、荒れ狂う自然と対峙することで少しずつ大人になっていく。思春期を目前した二人の素直な心の声、豊かな自然に身を委ねるように暮らす人々に心を奪われた。それなのに・・・。心洗われる思いで読み進め、エピローグで衝撃を受ける。最後の最後で読者に大きな命題を与える終わり方、考えさせられる。

2019/01/29

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