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大渦巻への落下・灯台 ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

大渦巻への落下・灯台 ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

大渦巻への落下・灯台 ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

作家
エドガー・アラン・ポー
Edgar Allan Poe
巽孝之
出版社
新潮社
発売日
2015-02-28
ISBN
9784102028063
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大渦巻への落下・灯台 ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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クプクプ

読書上級者向けの難しい作品でしたが面白かったです。「タール博士とフェザー教授の療法」精神病院の患者とスタッフの立場が入れ替わる作品。小説と関係ありませんが精神科医は診察で患者にアウトプットさせるのが良い先生です。「アルンハイムの地所」ポーが造園をテーマに美意識と哲学を書いた、難しくて面白い作品。本文より「造園術といっても正式にはふたつのスタイルしかない。自然を尊重する流派と人工的に構築する流派だ」。これで新潮文庫のポーの本4冊を全て読みました。読み応えがあり満足です。

2019/12/18

そうたそ

★★☆☆☆ ポーといえば、怪奇小説や推理小説の元祖というイメージが強いのだが、本書はSFやファンタジー色の強い作品を集めた短編集。前半は割ととっつきやすい作品が並ぶものの、後半はちょっとよくわからず。最後の「灯台」は四ページほどしかないものの、ポーの未完の作品ということで読む価値はあり。本書でのマイベストは「タール博士とフェザー博士の療法」。精神病院の患者が、医師たちをとじこめて、自分たちが医師たちに成り代わってしまうというユーモア感じられる一編。一冊を通して、ポーって奥深く難しいよね、と実感。

2016/06/14

おにく

無性にポーが読みたくなりました。SFとファンタジーのジャンルで厳選されたポーの短編集です。実際にはジャンルに囚われない作品ばかりで、彼はSFを書こうと意識したのではなく、未来予想や未知のものを解明したものが、こうしたジャンルに収まったようです。18世紀に実在したチェス差し人形のトリックを暴く“メルツェルのチェスプレイヤー”や、理想の地に桃源郷を造ろうとする“アルンハイムの地所”はラストの情景が印象的でお気に入りです。あとがきでは、ポーの作品にインスピレーションを受けた作品などの紹介があります。

2016/11/11

コジ

ポーと言えばゴシック・ホラーと思っていたが、本書にはポーのSF作品が収録されている。ただし、昨今よく見かけるSFのように明るい未来、希望に満ち溢れた世界などは全く出てこない。恐怖の世界を描くエッセンスとして使われる科学の知識。故に一見ホラー作品と誤認しかねない作品もある。収録作品中で気になったのはチェス差し人形のカラクリの考察を熱心に論述する「メルツェルのチェスプレイヤー」。ほぼ論文なのでストーリー性のある作品ではないが、コンピューターが登場する前の時代、思考する機械への期待があるからこその否定に思えた。

2017/01/25

そふぃあ

『三体』に出てきた「大渦巻への落下」を読みたくて開いた。渦潮の驚異に畏怖の念を覚える。臨場感のある描写だった。当時信じられていたという”地球空洞説”が骨子となっているらしいが、南極に巨大な穴があるという説と合わせてロマンがある話だと思う。「使い切った男」は東欧のSFのようなほろ苦いユーモアセンスを感じた。未完の「灯台」は巻末の解説を通してブラッドベリの「霧笛」を読みたくなった。

2022/05/13

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