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オリヴァー・ツイスト (新潮文庫)

オリヴァー・ツイスト (新潮文庫)

オリヴァー・ツイスト (新潮文庫)

作家
チャールズ・ディケンズ
Charles J.H.Dickens
加賀山卓朗
出版社
新潮社
発売日
2017-04-28
ISBN
9784102030073
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オリヴァー・ツイスト (新潮文庫) / 感想・レビュー

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月六

不遇に苦しむ男の子に、誰もが味方したくなる。憎しみの中に放り込まれた純粋で無力な存在が、読者の善意に響くからだ■社会風刺が随所に光る語りは一級品。悪意にとらわれた人びとは、勝手に破滅へと引きずり込まれていく。読者を焦らす場面の転換も効果的で、すごい作家だなと思い知る■「逃げるところなんだ、叩かれたり、ひどいことをされたから。ずっと遠いところで幸運を探すよ」■そう、逃げるんだよ、オリヴァー。今では逃げようとしない人があまりに多くなった。能動的に見えにくいオリヴァーだが、実際、彼の逃走から物語は始まったのだ。

2018/03/31

のっち♬

もう一杯ください—孤児のオリヴァーが凄惨な苦境にもめげずに成長していく様を通して、当時の救貧院を糾弾した作品。本書で著者は登場人物を絞る代わりに、社会の個人単位までの圧縮を試みている。その巧みな人物造形と卓越した文章力、迫真の描写力、何より強引ながらも興味を引く展開が魅力的だ。オリヴァーは純粋無垢で非個性的な弱者であるが、善という存在がいかに稀少で人を動かす力がありながら制度の下に埋もれているのか、著者はそれを当然の如く看過する社会を深く抉っている。読者との信頼関係を確立した話の締め方も抜かりない、名作。

2017/12/11

aika

生まれてすぐに母親を亡くし、収容された救貧院で飢えや虐待に苦しむ時も、窃盗団のフェイギン一味の手先になってしまった時も、純粋な心を決して失わない少年オリヴァーのひたむきな姿に胸を打たれました。少年を境界に、善良な人々と悪の人々とが拮抗する壮大なストーリーの脇道にある小さな悲劇。預けられた先で虐げられ、天国にいる妹を想いながら行方の分からないオリヴァーを心配する唯一の友達・ディックと、凶悪犯サイクスの傍にいながらもオリヴァーを救おうとしたナンシーが辿った哀しい運命にもの思いが尽きることはありません。

2021/05/04

Ryuko

救貧院で育った無垢な少年オリヴァーが、ロンドンで犯罪者の一味に入れられたり、老紳士、淑女に親切にされたりしながら生き抜いていく物語。有名なお話なので、お粥のお代わりのくだりや、粗筋は知っていた。実際読んでみて、オリヴァーの無垢すぎる受け身的な生き方に驚いた。一方、ディケンズの描くロンドンの下町、犯罪者の巣窟の描写は、生き生きとしていて、悪役たちが魅力的だ。読んでいて、サラ・ウォーターズ「荊の城」を思い出した。ほかにも影響を受けた作品はたくさんあるんだろうな。

2018/03/08

「かわいそうなオリヴァー」の目を通して垣間見える産業革命期イギリスの社会事情。オリヴァーは、その生まれの不幸とは裏腹に絶対的な無垢さと端麗な容姿を兼ね備えているという点で、徹底的にナルシスティックな感情移入の対象であり、とことん受動的な主人公だ。問題は彼を取り巻く下層階級の犯罪者たちの生活描写と比べると、「紳士淑女たちとの幸福な生活」の場面が退屈極まりなく見えてしまうことだ。2つの世界は対比されているのだが、全体を通して作品は通俗的な善悪二元論の枠をでない。個々の場面では眼を見張る描写が見られるけど…

2017/05/07

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