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長距離走者の孤独 (新潮文庫)

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

長距離走者の孤独 (新潮文庫)

作家
アラン・シリトー
Alan Sillitoe
丸谷才一
河野一郎
出版社
新潮社
発売日
1973-09-03
ISBN
9784102068014
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長距離走者の孤独 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ケイ

全体に漂うのは圧倒的な孤独。訳者との相性か、丸谷氏訳による二篇が好み。「アーネストおじさん」少女二人を前にして感じた孤独に、警察を向ける意外に誰も手を差し伸べず、やさぐれた生活戻るしかないやるせなさ。「漁船の絵」の郵便夫の、妻を拒絶しない行動に不器用な愛と押し寄せる寂しさ。河野氏訳の「フランキー…」では、作者が貧しい工業地帯の中から文士として身を立てたために感じる孤独が読み取れる。表題の「長距離走者の孤独」、主人公の自分を貫く様と彼が走る時の足の運びと息の切れが心地いい。

2013/11/25

紅はこべ

もう何回読み返したかわからない一冊。「漁船の絵」では本を読む者と読まない者との間の深い断絶を感じた。キャスィーは父親の影響で本嫌いになったらしいが、父親はひょっとして読み書きができない人だったのかも。この時代の労働者階級では、読書好きなハリーの方こそ変人だったらしい。「試合」と『レベッカ』やクリスティの諸作を比べると、英国で好きなスポーツの階級差は歴然とわかる。「アーネストおじさん」の理不尽な結末はやり切れない。

2017/05/15

ケイ

走る気持ちを知りたくて、表題作のみ再読。でも、書かれているのはむしろ思索。無心に走っている間の哲学。

2018/11/24

藤月はな(灯れ松明の火)

「アーネストおじさん」のアーネストおじさんに降りかかる無理解の悲惨に絶句。彼はただ、友達が欲しかっただけなのに…。孤独に耐えるには酒に呑まれるしかない哀しみに項垂れる。「レイナー先生」は生徒に辛く、当たる先生も負け犬でしかない事実が苦い。「漁船の絵」は一番、好きで、最後の「愛のために何もしなかった」と言う文章が突き刺さる。「土曜の午後」の本当に自殺してしまう人はサインなんかもう、出せない事や「試合」の忍従の限界を迎えた時、家族は容易く、壊れてしまう事は現実であり、それを描いているからこそ、遣る瀬無いのだ。

2017/10/25

ケイ

寒い日に走る心地良さみたいなのを感じたくて、表題作のみ再読。初読では、主人公の孤独や彼のした事に胸が痛んだ。今回は、してやったね!と喝采する気持ちだ。そう、その気概がなくては。一緒に喝采したい気分だ。寒い中、白い息を吐いて、まるで走っていないかのように、歩いているみたいに、静かな朝、心臓は激しく鼓動を打っても、軽やかに脚を弾ませて、走っていたんだから。走ることは、一人で思索し哲学者になることなんだと気付いたのだから、それで十分なんだろう。

2014/12/27

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