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白い牙 (新潮文庫)

白い牙 (新潮文庫)

白い牙 (新潮文庫)

作家
ジャック・ロンドン
白石 佑光
出版社
新潮社
発売日
1958-11-12
ISBN
9784102111017
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白い牙 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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はたっぴ

『野性の呼び声』を読んだ時に読友さんにお勧めされた作品。今作では狼と犬の子供として生まれたホワイト・ファング(白い牙)が野生の世界から人間の下へやってくる。狼犬が人間に飼われ、文明を知覚する過程が非常に面白く、著者の生き生きとした描写に夢中になった。一匹狼のホワイト・ファングが飼育する人間から受ける扱いは天地ほどの差がある。途中、あまりの虐待ぶりに憤りを感じる場面もあったが、新たな飼主により本物の愛に触れた狼犬が、自己規律において猜疑心を捨てて、一心不乱に忠誠を尽くす姿に涙がこぼれた。躍動感みなぎる一冊。

2018/02/28

やいっち

有名な作品だし今後も読み継がれていくとは思う。文章に力があり、読む手を休ませないのだ。ただ、少しは読書体験を重ねてきた自分、人種問題などにも無垢ではありえない今となっては、ナイーブな気持ちでは読めない。作家には明らかな人種的偏見がある。人種的序列があることは否めない。先住民の上の白人。先住民に限定的とはいえ飼いならされる狼。純粋な狼ではないのだとしても、こんな物語が現実にありえるのかと訝しんでしまう。いうまでもなく、白人の上には神が鎮座している。

2020/09/08

はる

狼の血を強く引く子犬、ホワイトファング。母犬といっしょに人間と暮らすことになるが…。犬の目線で描かれる物語は人間の倫理観は通用しない。生きることが唯一の行動理念である彼にとって人間達のなんと醜く身勝手なことか。生きるために残酷で凶暴になっていくホワイトファング。だがある日、一人の紳士に出会ったことから少しずつ変わっていく…。愛を教えてくれるのもまた人間だったのだ。疾走するホワイトファングの姿が目に浮かぶ。予想外に穏やかなラストがいい。

2021/05/24

ぶんこ

読み切るのに非常に意思の力が必要でした。2/3以上にわたる犬(オオカミ)と人間の残酷な面が耐え難かった。動物も人間も、力、暴力で支配された関係がどうなるかを考えさせられるし、生きる事でいっぱいだと、優しさや思いやりが育たないのかもしれない。残り1/3で、優しいスコットに助けられ、厳しい北国から南国サンフランシスコへやってきたホワイトファング。やっと安心して読めると思いつつ、やっぱり安心は出来ず心がウツウツしっぱなし。でも、6匹の仔犬を授かったことで、孤独とはさよならできそうでホッとしました。

2021/06/27

Apple

オオカミであり、犬であるホワイト•ファングの長い旅路。荒野で生まれた彼は、自然の掟の中で育っていくわけですが、途中からは人間たちの社会の中で生きていくことになります。神、と彼が認識する人間との暮らしは残酷な日々であり、どんどん歪んでいくホワイト•ファングの姿が悲痛でした。オオカミにも犬にもなり切れない彼の本能が、そうさせているのかもしれないと思いました。そんな彼が、結末には愛を見出すことのできた奇跡に、静かで感動的な余韻を感じました。動物を主人公とした、名作としてふさわしい作品だと思いました。

2023/04/21

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