異邦人 (新潮文庫)
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THE ALFEE・高見沢俊彦 めんどくさいものに憧れた学生時代。カミュ『異邦人』の不条理さが「心の空白」を埋めた【私の愛読書】
さまざまな分野で活躍する著名人にお気に入りの本を紹介してもらうインタビュー連載「私の愛読書」。今回は、新刊『特撮家族』(文藝春秋)を出されたばかりの、ロックバンドTHE ALFEEリーダー・“タカミー”こと、高見沢俊彦さんに愛読書を3冊教えていただいた。 取材・文=荒井理恵
不条理感にやられた『異邦人』
『異邦人』(カミュ/新潮社)
――1冊目はカミュの『異邦人』ですね。まずは選んだ理由から教えていただけますか?
高見沢俊彦さん(以下、高見沢):高校はミッションスクールに通っていて「聖書」の勉強なんかもしてたんですが、自分の中でいろんな疑問が出てくるんですよ。しかも10代って中途半端じゃないですか。大人でもなく、かといってまるっきり子どもでもない。その頃の僕にとって本や音楽は、そんな「心の空白」を埋めるものだったんですね。で、その頃に一時期はまったのが「実存主義」で。有名なところではニーチェの「神の死」とかありますけど、「神は死んだ」なんて言ったら本当は大変じゃないですか(笑)。でも「神を認めると実存ではない」ってなるわけです。それってどういうこと…
2023/4/22
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異邦人 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
学生時代以来の再読。1940年に書かれた作品だが、今も十分に現代小説としての輝きを失っていない。それだけ小説としての自立性、屹立性が高いのだろう。ムルソーが引き金を引く直接の契機となった太陽の光と共に、乾燥した風や海など、アルジェリアの風土感もまた作品の固有性に寄与している。また、これまでなんとなくムルソーは主人公の名前だと思っていたのだが、それは姓であり、ついに名前が語られることはない。そうしてみると、彼の異邦性は外界に対するものであると同時に、自らの存在自体にも向けられていたということになるのだろう。
2012/12/08
zero1
この作品は、多くの人が誤解しているのではないか。主人公ムルソーがしたことを思い出してほしい。被害者となる男に向かって銃を一発放った後、間を置いて四発撃っている。殺意があったということを意味している。日本ではひとり殺しても死刑にならないが、重い罰は避けられない。それを不条理というのなら、自分の家族が殺された時にも同じことを述べるのだろうか?しかも、この殺人犯は自分が人を撃って殺したことを恐れてない。恐るべき人物だ。太陽に大きな意味はない。彼がしたことを考えれば、この作品は不条理などではない。
2018/10/17
ehirano1
数十年の時を経て再読。昔はサッパリわからず、ムルソー?は?何だコイツは?くらいだったのが、今ならわかる、なんとなくですけど。不条理、そう、常識と言う名の不条理、否、社会の内在的論理である不条理。これを具体化し、その不条理に抗ったのがムルソー。不条理に抗うことで不条理をより具体化(≒イメージ化)した手法は流石としか言いようがありません。本書が名作たる所以が今頃ではありますが、少しでも感じ取れたのは僥倖でした。
2023/05/13
mura_海竜
物語は周囲から異質な者と見られ死刑の確定された、ムルソーを中心に進む。難しい読み物とずっと感じていたが、読んでみるとシンプルでわかりにくくはなかった。ただシンプルなだけに奥の深さを感じたし、今読んでも、学びがある。また、重くも感じない。サラマノ老人のいなくなった犬がどうなったのか、気になる。図書館本。
2016/03/27
抹茶モナカ
何やら、僕自身が最近年老いて行く母親に殺意を感じる瞬間があったので、「殺人」について掘り下げたい気分になり、手にしてみました。もっと、主人公の造形が歪なのかな、と、思っていたのだけれど、古典的作品なのに非常に現代的人間像で驚きました。翻訳とは言え、乾いた文体も心地良かったです。読んでいるうちに、僕自身の今回の読書のテーマ「殺人」は本作では、その心理に迫る訳ではないのがわかったのですが、まあ、それはそれとして。真夏に読んだせいもあって、気分も小説世界に浸りました。ママンが死んだところから始まるのね。
2016/08/04
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