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人間の絆(下) (新潮文庫)

人間の絆(下) (新潮文庫)

人間の絆(下) (新潮文庫)

作家
サマセット・モーム
出版社
新潮社
発売日
2021-10-28
ISBN
9784102130315
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人間の絆(下) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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マエダ

人生に意味などないと気付くことで、これから何が起ころうと、人生という模様がペルシャ絨毯のように複雑になる動機が増えるだけと考え、死が近づいたらその完成を喜ぶことができる。月並みな意見かもしれないがミルドレッドが出てくると面白くなる。

2022/02/20

Shun

故郷を出てフランスでの絵描き修行は成果を出せず再びイギリスに戻ったフィリップ。そこで出会った女性ミルドレッドに恋をし、逢瀬を重ねるうちに彼女の掴みどころのない傲慢さに気付くが、フィリップは己の恋心に痛ましいくらい翻弄される。この関係に加え、戦争気運の高まりとそれに関連した投資の失敗がフィリップをさらなる苦境へと陥らせてしまう。物語の落ち着くところは、そんな艱難辛苦がフィリップに自ら悟らせた一つの答えと言えます。苦難続きの中でも失わない、美しいものに対する憧憬が彼の人生と言う名の織物を作り上げるかのようだ。

2022/02/18

原玉幸子

上巻で自身の厭な感情と引き出された私は、普段であれば、自分の感情を作品に寄せて「恋愛あるある」に切なく思うのですが、「何故、こんな酷い女性を好きだとか愛していると言えるのだろう」と、物凄くいらいらしました。主人公は女性を軽蔑?というフィルターを通じて見ている気がして、又も想い起させられた自分の厭な感情が戻って来て、彼を取り巻く不幸によりその感情が増幅しました。主人公が呟く絶望と宗教と諦めと悟りに言葉を当て嵌めるなら、表題は「人生」かな、と。最後に幸せになる結末はズルいと思う私は意地悪?(◎2022年・春)

2022/03/05

スコットレック

これほど癖のある自己中心的な人物ばかりが出てくる小説なのに全員に感情移入できるように(自分はそうだった)描写できるモームの凄さ!それは登場人物全員が自分の気持ちに正直だから、だろうか。安易に使ってはいけない表現かもしれないが"完璧"な小説だと思う。自分は月と六ペンスを行方昭夫さんの訳(岩波文庫)で読んだので、いつか行方さんや中野好夫さんの訳の人間の絆が読めたら・・。長い小説なので、おいそれと挑戦はできないが、また新たな発見、物語の魅力が得られるかもしれない。とりあえず他のモームの作品を読んでから、かな。

2023/11/26

ブラックジャケット

学生の頃でも、ミルトレッドの魔性は感じ入った。必ず再読しようと誓ったほど。だいぶ時間が経ってしまったが…。この本の面白さは、通俗性の装いの中に仕込まれた深遠さが心に響くことだ。それも人物の造形が的確で、血がかよう豊かさが読者を引きつけるからだ。フィリップは聡明だが劣等感が強く、主人公としては難しい性格だが、人生の折々の選択では愚かさも見せる。それがドラマとなり大長編を飽きさせない。いや、それどころが次の章が待ち遠しいほど中毒性もある。新訳は読みやすく、これからも若い読者の心をつかんでいくだろう名作だ。

2022/05/08

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