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シェルタリング・スカイ (新潮文庫)

シェルタリング・スカイ (新潮文庫)

シェルタリング・スカイ (新潮文庫)

作家
ポール・ボウルズ
大久保康雄
出版社
新潮社
発売日
0000-00-00
ISBN
9784102338018
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シェルタリング・スカイ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

ボウルズは初読。これが著者最初の長編小説。この作品に描かれるサハラの砂漠世界はニューヨークからは限りなく遠い。空間的にもそうだが、アメリカやヨーロッパ的な尺度からする文明観からはさらなる隔たりがあるだろう。ニューヨークから逃れたポートとキットは、しだいにサハラの奥地へと分け入り、そしてそこに飲み込まれてゆく。アルジェリア(そこはアメリカ・ヨーロッパ文明の及ぶ地だ)に戻ったキットが言葉少なに「何もかもなくしてしまいました」と語るが、これはそうした喪失の物語であり、読後は強い寂寥感に支配されることになる。

2017/11/17

ケイ

虚無感のようなものを描く作家は多い。退屈さ、無為に過ごす耐え切れなさ。それは孤独に通じているのか…。ポールとキットとタナーの関係の描き方に、女性を突き放す冷たさに、作者の渇きを感じ、心がざわついた。持てる者達が、もはやその持つべき物で精神が満足できない時に救いを求めて目を向けるのは、肉体だけなのかもしれない。肉欲であれ、薬に頼るのであれ。砂漠に身を投じるのも、最後の快楽を得る手段である肉体だけは共にあるからだろうか。破壊への衝動はあっても、実際に滅びるのはこわい、それを活字にしたらこうなるのだろうか。

2017/06/19

こばまり

初めて原作に触れ、愛の不毛でなくむしろ愛の完結を描いているのだと気付く。泣きたくなる程美しい景色を見た時に似た、澄み切った気分だ。改めて映画を観直したくなった。

2017/06/01

harass

有名な映画の原作本。映画は見ているがすっかり内容を忘れていた。初ボウルズ。北アフリカで旅をするアメリカ人夫婦と同行者三人は、次第に現地に飲まれていく…… 容赦無い砂漠と異文化の環境は虚しさをはらんだ登場人物を翻弄していくのだった。変に抽象的な書き方があったり、なかなか意味をつかみにくいところがあるのだが、読むこと自体にある種の愉しみを感じられた。漠然としたなにかを主題にしているが、それがよくわからないのに面白い。挫折することなく読み終えた。カフカの小説のような印象がある。これこそ現代文学なのかと。

2015/09/02

らぱん

数年ぶりで何度目かの読書なのだが、どっぷり漬かって息苦しくなった。アメリカに象徴される文明を否定しながら、否定する自分を否定している状態と、恋愛におけるロマンチックな側面を排除した特別で濃密な関係性の在りようが詳細に描かれているからだ。一方で砂漠に容赦や曖昧は無く躊躇いを許さず、徹底した絶対性は美しい。生きていればいつかどこかで必ず死ぬ、それは当然なのだけれども・・・今回の収穫は音に対しての敏感さだ。西洋的な感覚ではノイズとされるような音の聞こえるときと聞こえないときの違いと物語内の変化が見事だった。↓

2019/07/10

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