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写字室の旅/闇の中の男 (新潮文庫)

写字室の旅/闇の中の男 (新潮文庫)

写字室の旅/闇の中の男 (新潮文庫)

作家
ポール・オースター
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
2022-08-29
ISBN
9784102451182
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写字室の旅/闇の中の男 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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サンタマリア

知恵の輪的な小説集。まぁそんなものはタンスにしまっといて。『写字室の旅』過去のオースター小説の登場人物が多く出てくる。彼らの扱いに差こそあれど、オースターはみんなを愛しているんだと思った。そして、人物を描写することに対する熱意を感じた。ただ何人か「はじめまして」な人がいたのは残念。『闇の中の男』9.11について僕が知っていることは殆ど無い。多くの人が亡くなったことだけ知っている。数字で。淡々と語られる怒涛の展開の中で、人が死んでいく。『このけったいな世界が転がっていくなか』。それでもこの世界で生きていく。

2022/09/04

Shun

不思議な部屋にくたびれた老人が一人。男は状況が分かっておらず、時折訪れる人たちの話から色々想像もつくが何やら不条理小説のような幻想小説のような物語の「写字室の旅」。そしてもう一作も、これまた小説世界の理が判然としづらい。ある老齢の男が創作した物語、または見た夢の内容が描かれ、そしてこちらの世界はどうやらアメリカで9・11が起こらなかった世界線での話のよう「闇の中の男」。どちらも霧の中にいるような模糊とした印象を受けた。あとがきによれば二作は互いに関連し合本されて一冊になったそうだが、解釈が難しそうだ。

2023/12/10

tokko

う〜む、さすがはオースター。ぐいぐいと引っ張り込まれました、稀代のストーリーテラーは健在です。作者と作中人物たちが錯綜する不思議なモチーフを共通とする、二つの物語は一対の作品として奇妙な印象を残しました。実は「闇の中の男」はハードカバーで買って読んでいたのですが、それと気づかず「写字室の旅」に連なる作品として楽しんでいました。かなりショッキングな描写があるので、さすがにその時点で「これ、読んだよな…」と気づいたのですが、それまで二つの作品をトータルで捉えていたようです。

2022/09/27

ひと

2つの中編小説。どちらも主人公が物書きをしていて自伝的な内容なのかなという印象を受けました。「闇の中の男」は、目覚めると9・11はなかったが内戦が起きているアメリカに放り込まれていた兵士が、その世界を終わらすためその世界を造り上げた作家を殺しに行く、という話しで、以前洋書でも読みましたが柴田元幸訳で読むとさらに面白かったです。

2022/11/23

Porco

単体作品と意識するとそこまで難解でもなく『写字室の旅』はオースターの自伝とダヴィンチの名言「美しい身体は死ぬが、芸術作品は死なない」とはまた違った切り口の作者と作家自身が作り上げてきた虚構の物語との関係を描いたパラフィクションで、『闇の中の男』は難解だが単純にアメリカ現代文学に色濃く影を残した9.11から影響を受けた作品なんだなと思っていた。しかし連作『写字室の旅/闇の中の男』として読むと前述したパラフィクションの話と『闇の中の男』が繋がらず終盤から難解で読解できずに終わってしまった。 (1/2)

2023/08/06

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