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ミライミライ

ミライミライ

ミライミライ

作家
古川日出男
出版社
新潮社
発売日
2018-02-27
ISBN
9784103060772
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ミライミライ / 感想・レビュー

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さっとる◎

いつの話をしよう?そっと目をとじて、また開ければ前には過去が見える。だから、むかしむかし。むかしむかし、詩人が殺され大国と大国がにらみ合い小さな国がなくなり大きな国は名前を変えた。日本でなかった場所が日本になった。それから日本はインドになった。そんな歴史、もちろん知ってる。色んなことが起こったしそこには当然人がいたし、人がいるから思惑とか作戦とかが縒られてうねって戦って。そんなむかしむかし、人も動物も後ろを向いて後ろに見える未来を祈った。みらいみらい。さてそれはいつの話だろう?むかしむかし、見たミライ。

2018/03/12

ぐうぐう

むかしむかしとみらいみらい、北海道と沖縄、ソ連とアメリカ、そんな両極から挟み撃ちされる日本の、ありえたかもしれない歴史を描く『ミライミライ』。けれど、事はそんなに単純ではない。主権を回復した日本がインドと連邦国家を築くように、小説家のイマジネーションが、もうひとつの歴史の中で炸裂するのだ。ありえたかもしれない歴史、このパラドックスを古川日出男は、希望という楽観や、絶望という悲観で弄んでいない。別の歴史は、現実の歴史と密接に関連し、描かれる。それは逆説的に、現実の歴史を忠実になぞる行為でもある。(つづく)

2018/07/06

marco

主人公が所属する最新″(「さいじん」と読む)という音楽グループを中心に繰り広げられる、ありえたかもかもしれない近現代史。メンバー4人の一人ひとりを丁寧に描き出す筆致が、作品に奥行きを与え、そして、命を吹き込んでゆく。「ありえたかもしれない」はむかしむかしのことで、みらいみらいは、こうであってほしい、そう願っている自分がいる。古川さんらしい、時代にも読者にも阿らない作品で、すぐに人口に膾炙することはないかもしれないですが、いまだからこそ書かれた、そして、できるだけ多くの人に読んでほしい作品です。

2018/06/16

hide

むかしむかし、と思いを馳せながら過去が起ちあがるのを視る。前方に昔があるのに気づく。えっ?それじゃあ未来は?後ろを振り返って凝視すれば、あった。後方に未来が。そうだ、世界は幾つもあるのだ。昔と今を繋ぐために語る。みらいみらい、とあったかもしれない歴史をニップノップのビートにライムだらけのリリックスをフロウして。未来が加速する。リリックからエピックへ。そして今を問いかける。これは傑作です。

2021/05/02

Tui

定期巡回ディストピアもの。この本の設定も斬新です。津軽海峡を挟み、北海道はソ連領、本州より南は印日連邦の日本州となっている世界が舞台の、もうひとつの戦後史。これだけ読むとあり得なさそうな設定だけど、印度と日本が同盟関係を結ぶに至った地政学的な経緯など、さきの大戦末期にいくつか選択が異なっていたらもしかしてと思わせる説得力。ヒップホップ(小説世界ではニップノップというジャンル)は全く未知だけど、この物語のようなカウンターとしての威力が本当にあるのか味わってみたい。植本一子の著作で知ったECDから入ろうか。

2018/04/24

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