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トリニティ

トリニティ

トリニティ

作家
窪美澄
出版社
新潮社
発売日
2019-03-29
ISBN
9784103259251
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ジャンル

「トリニティ」のおすすめレビュー

『トリニティ』女に必要なものを3つ選べる? 「男、仕事、結婚、子ども」それぞれを選んだ女性は…

『トリニティ』(窪美澄/新潮社)

『トリニティ』(窪美澄/新潮社)という作品を、岐路に立つ前に読んだ人は幸せだ。さまざまな女の来し方を知り、自分にとって最良の選択ができるから。また本作を、岐路を振り返る時期になって読んだ人も幸いだ。さまざまな女の行く末を見て、自分にとって最高の運命を信じられるから。

「専業主婦なんて夫に寄りかかった生活、どこがおもしろいのかしら。夫という大樹がなくなればすぐに路頭に迷うんじゃないの」

 若かった鈴子が結婚を機に会社をやめるとき、フリーライターの登紀子に言われたことだ。その言葉は、72歳の今になっても鈴子の胸に刺さっている。鈴子が、何年かぶりに登紀子に連絡したのは、突然の訃報がきっかけだった。高名なイラストレーター・早川朔こと藤田妙子が亡くなったという。そこで、妙子・登紀子のふたりと親しくしていた鈴子が、妙子の訃報を登紀子に知らせることになったのだ。

 登紀子は、祖母も母も物書きであり、フリーライターの先駆け的な存在。今もあちこちで使われているファッション誌の文体は、登紀子が作ったと言っても過言ではない。鈴子は、若いころ…

2019/7/13

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トリニティ / 感想・レビュー

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starbro

窪美澄は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。母娘三代の物書き、雑誌の黎明期を駆け抜けた三人の女性達、当時の勢い&熱量がリアルに感じられる力作でした。彼女達が切り開いたからこそ、現代の女性の活躍あるんでしょうね。

2019/04/23

ウッディ

イラストレーターの妙子、フリーライターの登紀子、そして 出版社に勤め、寿退社した鈴子。高度成長を続ける昭和を生きた三人の女性たち。女性が働き続けることへの偏見が強かった時代に実力と才能でその分野のパイオニアとなった妙子と登紀子の物語を、ブラック企業で鬱になった鈴子の孫の奈帆が取材するという形で話が進んでいく。時代の先駆けとなった二人の苦悩と熱を感じながら、女性としての幸せとは何かをも考えさせられました。昭和の時代を象徴する出来事とともに、読み応えのある一冊で、面白かったです。

2020/01/05

のり

半世紀前に出版社で出会った三人。イラストレーター・ライター・事務職と立場は違えど不思議とウマがあった。女性の社会進出がままならない時代に先駆者となって確固たる地位を築いた者と、家庭を選んだ者。現在と比べて仕事・結婚・子育てを同時にこなすには難しい時代。彼女達の情熱や取り巻く環境にも変化が…失礼な言い方にはなるが彼女達の生い立ちも興味深かった。人との出会いは宝でもあるが諸刃の剣にもなり得る。

2019/08/20

いつでも母さん

50年前に出版社で出会った3人の女性。それぞれが選んで生きた年月をその頃の社会を思い出し懐かしく読んだ。あの頃の熱は何だったのだろう。時代か?これは女の一生。何が正解か、誰が幸せかなんてわからない。3人は真剣に生きたんだ。人生の終わりに他人は知ったように囁くだろうが、何度だってきっと同じ人生を選ぶだろう。そんなこと思った。聞き取る鈴子の孫・奈帆の再生の物語でもあった。選んだもの、諦めたこと・・そして今の自分がいる。三位一体ー私はなんだろうー

2019/06/24

hiro

雑誌の編集部で出会ったライターの登紀子、イラストレーターの妙子(早川朔)、そして見合い結婚し会社を辞めた鈴子の生まれも育ちも違う三人の女性の半生を描いた、男性作家には書けない作品だった。高度経済成長の時代、パイオニアとして活躍する女性にとって、家庭と仕事を両立することは今以上に困難だったと改めて感じたが、専業主婦だった鈴子の孫の奈帆が加わることによって、現代の若い女性の視点からも三人をみることができた。窪作品を読むのはちょうど10冊となったが、『ふがいない』と並ぶ、窪さんの新たな代表作が誕生したと思う。

2019/05/17

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