KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

正欲

正欲

正欲

作家
朝井リョウ
出版社
新潮社
発売日
2021-03-26
ISBN
9784103330639
amazonで購入する

ジャンル

「正欲」のおすすめレビュー

「今月のプラチナ本」は、朝井リョウ『正欲』

『正欲』

●あらすじ● 生き延びるために、手を組みませんか──息子が不登校になった検事の啓喜、秘密を抱えながらショッピングモールで働く夏月、夏月の中学校の同級生だった佳道、大学でミスコンを運営する八重子、ダンスサークルに所属し、八重子に思いを寄せられる大也。人知れず生きづらさを抱える彼らの人生が、ある事件を軸にして重なりあう。無自覚に張りめぐらせる「正しさ」の網目に真正面から問いを突きつける一作。 あさい・りょう●1989年、岐阜県生まれ。2009年、『桐島、部活やめるってよ』(集英社)でデビュー。神木隆之介主演で映画化され、話題に。『チア男子!!』(集英社)で高校生が選ぶ天竜文学賞、『何者』(新潮社)で直木賞、『世界地図の下書き』(集英社)で坪田譲治文学賞受賞。ほか著書に『もういちど生まれる』(幻冬舎)、『武道館』(文藝春秋)、『世にも奇妙な君物語』(講談社)など。

朝井リョウ新潮社 1870円(税込) 写真=首藤幹夫

編集部寸評  

答えではなく問いが湧き上がる本 「繋がり」。人と人は自然に繋がり合って生きている、のか? 友人、恋人、…

2021/5/6

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

「正欲」の関連記事

ダ・ヴィンチニュース編集部 ひとり1冊! 今月の推し本【5月編】

 ダ・ヴィンチニュース編集部メンバーが、“イマ”読んでほしい本を月にひとり1冊おすすめする新企画「今月の推し本」。  良本をみなさんと分かち合いたい! という、熱量の高いブックレビューをお届けします。

シングルでも結婚でもない、女ふたり暮らし『女ふたり、暮らしています。』(キム・ハナ、ファン・ソヌ:著、清水知佐子:翻訳/CCCメディアハウス) 『女ふたり、暮らしています。』(キム・ハナ、ファン・ソヌ:著、清水知佐子:翻訳/CCCメディアハウス)  29〜31歳の3年間、学生時代の友人とルームシェアをしていた。洗濯物の干し方の違いや帰宅後の生活音、男性に対する価値観の違い(ちなみに男子禁制がルールだった)がもととなり、ネタになるような喧嘩は何度もあったが、だんだん中和していくというか衝突は減り結果的に円満解散。楽しかった思い出の方がはるかに多い。友人の域を超え、ほぼ家族のような特別な存在であることは未だに変わらない。「親しき中にも礼儀あり」とはよく言うが、その言葉を再度胸に強く刻んだのもその頃だ(笑)。 『女ふたり、暮らしています。』は、ソウルに住む…

2021/5/21

全文を読む

関連記事をもっと見る

正欲 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

対幻想が社会のあたりまえの構成要素であると信じて疑うことがない、おめでたくも無神経な種族(マジョリティはこれなのだが)に属する私にはとうてい想像も及ばない世界である。フェティシズムは理解の範疇にあるが、それもあくまでも人間に関わってのこと。私の想像の限界は(閾値を超えているような気もするが)ネクロフィリアまでである。これは「中身の見えるプラスティックカップに水を移し替えていく」ことに耽美と(性的な)陶酔(あるいは恍惚)を感じる人たちの物語である。重ねて聞くが、ほんとうなのだろうか?

2021/10/20

ろくせい@やまもとかねよし

多様な個人を満たす社会はあるのか。生物本能とヒト特有意識で生じる矛盾を鋭く描く。生物は個体が生き延びるため、食べて、休む。そして集団維持で子孫を産む。私たちは自己意識を抱え、社会の中で自分の生存と子孫繁栄を満足させようと志向。人間社会の秩序は多数が満足するルールで制御。そこでは子孫繁栄の引き金は異性に限定され、性行為で完了。異性ではない性的衝動も少数派として多数に組み込まれる。生きることに大切な自己意識。時にこれがルールから逸脱した性的衝動に。これは少数派にも含まれない。社会が許容するは限定的な多様性か。

2022/03/26

starbro

朝井 リョウは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者の作家生活十周年記念作品[黒版]として期待して読みました。正しい欲望なんて存在しない気もしますが、多様性の名の下に正当化されるのでしょうか? 私は極めてノーマルですが、巷にはアブノーマル、変態が溢れているのでしょうか? https://www.shinchosha.co.jp/seiyoku/

2021/05/06

パトラッシュ

LGBTQなど性的多様性を認めることが正しいとされるようになったが、皆が同じで当然という日本では性的少数派が自らを公表するのは難しい。まして今も犯罪扱いを免れない児童ポルノでしか性的満足を得られない人には、現代は昔からの仲間が次々と消えつつある状況ではないか。そんな追いつめられた性的少数派が必死に自らの性癖を隠そうとあがき、ネットを通じて繋がりを求める姿を生々しく描いていく。ただ自分は同調圧力や忖度など気にせず他人と深い関係も求めない性格なので、これほど周囲を気にして怯えて生きる感覚が理解できないのだが。

2021/04/19

bunmei

現代社会が抱える『多様性をどう捉えていくのか』という課題に目を向け、その中で彼なりの主義主張を構築し、アピール性の高い作品となっている。『多様化』が叫ばれる中、いざマイノリティーと遭遇すれば、そこには見えない壁が存在し、そうした人々を排除する傾向は否めない。また、私たち自身も、結局はマジョリティーの安心や安定を望むばかりに、本音に蓋をして、周りに合わせていることにも納得している。本作では、主人公が関わる多様性について、思案し、悩み、葛藤する心の襞を通して、読者がどう考えるのかという判断も委ねてくる。

2021/04/27

感想・レビューをもっと見る