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消えない月

消えない月

消えない月

作家
畑野智美
出版社
新潮社
発売日
2017-09-22
ISBN
9784103394822
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ジャンル

消えない月 / 感想・レビュー

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ウッディ

ストーカー犯罪を被害者と加害者の目線から、交互に描いた問題作。マッサージ師のさくらは、出版社に勤める松原から告白され付き合い始めるが、彼の自分勝手な言動から別れを告げる。思い込み、執着、自分本位な理屈などストーカーの歪んだ心理と行動に、怒りと恐怖と気持ち悪さを覚え、同じ男性としても理解不能だった。暴力こそ振るわないものの、大量のライン、リベンジポルノ、職場への嫌がらせなど、女性が読めば恐怖しか感じないだろう。けど、付き合う前に違和感を感じなかったのだろうか?救いようのない結末まで、一気読みの面白さでした。

2018/10/28

taiko

怖い話。ストーカー被害の典型例のような事件が起こってしまいました。恋人がこういう人だった時は、本当にどうしたらいいのかと思ってしまいます。 さくらの対応にも問題があるようにも感じたところはありましたが、やっぱりそれだけではないし、松原の生育環境にも原因があるようにも思いますが、それだけでもないはず。 ひとつ何かが狂うと、こういうことが起こってしまうのではないかと、恐ろしさを感じずにはいられませんでした。 『月はいつも振り返るとそこにある。どこまで行っても、ついてくる。』タイトルがそのままで、ホントに怖い。

2018/01/31

fwhd8325

吐き気がするほどの衝撃でした。フラッシュバックのように場面が切り替わっても、それが頭から離れない。闇に浮かぶ月は、希望なのか絶望なのか。心の闇が、闇として隠れるのではなく、表に出て正当性を主張する時代。大なり小なり、そんな経験を持つ方は多いと思います。この物語は、物語だと思っていてもどこか既視感のようなもの感じさせてしまう怖さが離れませんでした。吐き気がするけれど、面白かった。

2017/12/07

utinopoti27

マッサージ師さくらの元に通う松原。お互いに惹かれあい、付き合うことになるが、松原の異常な執着に耐え切れず、別れを切り出したさくらに松原はストーカー行為を始め・・というお話。さくらと松原の視点が交互に入れ替わる構成で、抑制の効いた区切りの短い文章が、この救いのない話を余計に引き立てます。松原の歪んだ愛を非難するのは容易いけれど、さくらの優柔不断な行動にもこうした行為を助長する要因があるのでしょう。それにしても、実際にストーカーに取材したかのようなリアルな心理描写には驚かされます。畑野智美、注目の作家です。

2017/12/24

nobby

事態の好転し過ぎる様を危惧していた中で、やはり襲いかかった結末に暫し絶句…実際の事件等で知っているつもりのストーカーの恐怖。今作で被害者、加害者と交互に時系列ズラさず描く構成が、共に過ごした出来事への相互の解釈の違いを恐ろしく浮き彫りにする。逃げる側は周囲に迷惑をかけない様にと独りで背負い込み、追う側は誰をも蔑むことで味方が一人もいなくなる、実は心配する人達の存在があることが不憫極まりない…ただ彼女が好きなだけなのに…いつぞやか強い執着と怒りへと変貌した社会逸脱の凶暴性への対処は明らかに満たされていない…

2018/10/02

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