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欺す衆生

欺す衆生

欺す衆生

作家
月村了衛
出版社
新潮社
発売日
2019-08-27
ISBN
9784103395324
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「欺す衆生」のおすすめレビュー

「今月のプラチナ本」は、月村了衛『欺す衆生』

『欺す衆生』

●あらすじ● 現代の詐欺のルーツともいわれる、戦後最大の詐欺事件・横田商事事件。その元営業マンであった隠岐は、かつての同僚・因幡と再会する。「取り返そうよ、ここらで、僕達の人生をさ」。家族のためにと〈ビジネス〉の世界へ身を投じる隠岐であったが、次第に人を欺すことの快感に取り憑かれていき……。欺す者と欺される者、欲望の深淵に生きる彼らを待ち受ける運命とは――。 つきむら・りょうえ●1963年、大阪府生まれ。2010年、『機龍警察』で小説家デビュー。12年に『機龍警察 自爆条項』で第33回日本SF大賞を、13年には『機龍警察 暗黒市場』で第34回吉川英治文学新人賞を受賞。15年には『コルトM1851残月』で第17回大藪春彦賞を、同年『土漠の花』で第68回日本推理作家協会賞を受賞している。その他の著書には『神子上典膳』『機龍警察 狼眼殺手』など多数。

月村了衛新潮社 1900円(税別) 写真=首藤幹夫

編集部寸評  

ハッピー/バッドを超越したラストに震撼 人は〝自分の意志〟で生きているのだろうか。隠岐は因幡に脅されて、詐欺に協…

2019/11/6

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“日本のエンタメ小説の最高峰”が決定! 戦後最大で現代の詐欺のルーツ・横田商事事件の残党が主人公!【角川三賞贈賞式レポート】

(左から)滝川さり氏、月村了衛氏、北見崇史氏

 令和元年11月29日(金)、東京會館にて「角川三賞 贈賞式」が開催された。はじめに「第10回山田風太郎賞」について、選考委員を代表して京極夏彦氏が登壇。「山田風太郎という一種とらえどころのない、それでいて大変に魅力的な大作家の名前を冠した賞。候補作品はどれもジャンルも傾向も異なり、しかも“日本のエンターテインメント小説の最高峰”を、という眼目があるので、最終候補作においては質も完成度もユーザビリティも高く面白くて大変選びにくかった。山田風太郎賞が第10回を迎えてますますその傾向が強く、本年が一番苦しかった」と述べた。

『欺す衆生』(月村了衛/新潮社)

 最後まで勝ち残り大賞に選ばれたのは、月村了衛氏の『欺す衆生』。本作は、タイトルの通り詐欺師の小説だ。戦後最大かつ現代の詐欺のルーツとされる「横田商事事件」の残党・隠岐が主人公で、かつての同僚・因幡に導かれるがままビジネスを再興した隠岐は、詐欺の魅力に取り憑かれていく。それはやがて国家を欺く一大事業へと発展していく――。

京極夏彦氏

 京極氏は、月村氏の通底…

2019/12/7

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1年で最も面白かった小説を決める「山田風太郎賞」を犯罪巨編『欺す衆生』が受賞!

 1年間で最も「面白い」と評価されたエンタテインメント小説を決める文学賞「山田風太郎賞」の選考会が、2019年10月18日(金)に開催された。月村了衛の長編小説『欺す衆生』が受賞作に決定し、「おめでとうございます! 本当に傑作だから読まれてほしい」「めちゃくちゃ面白い作品だから嬉しい」と話題を呼んでいる。

 戦後日本を代表する大衆小説家の名前を冠した「山田風太郎賞」は、有望な作家の作品を発掘・顕彰するために創設された賞。対象となるのは毎年9月1日から翌年8月31日までに書籍として発表された、長編および短編の文芸作品だ。

 『欺す衆生』は戦後最大かつ現代の詐欺のルーツとされる「横田商事事件」の残党・隠岐が主人公。かつての同僚・因幡に導かれるがままビジネスを再興した隠岐は、詐欺の魅力に取り憑かれることに。それはやがて国家を欺く一大事業へと発展していく―。

 現代日本を舞台に、圧倒的な筆力で描き出されるのは人間の業と欲望。作品に触れた読者からは「想像以上に面白くて一気読み。まさに詐欺の見本市のような内容だった」「主人公がいつ破綻するのか、ゾクゾクするような…

2019/10/24

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欺す衆生 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ミカママ

500ページ超の大作を一気読み。登場人物たちの魅力(いや詐欺師やヤ◯ザなんだけどね)と、当時の世相(リアルネーム続出)が螺旋状に絡んだフィクションの魅力。バブル期、証券業界の端っこにいたわたしだが、一口何十万、何百万なんていうファンドが、営業電話一本で右から左へ成約していったことなんかを思い出しつつ。その本質や実態は、売ってる方も買ってる方も理解してなかったような気がするのだが。そういうビジネス(!)のコアは、手を替え品を替えて、令和の今日までも脈々と息づいているんだろう。

2021/06/05

starbro

月村 了衛は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。豊田(横田)商事の残党達による悪徳商法ノワール・クロニクル、一気読みしました。悪徳商法のオンパレード、悪い奴のてんこもり、人間の慾が消えない限り、悪徳商法は滅びないんでしょうね。因みに私の父は、大昔に原野商法に引っ掛かり、最近、原野商法の二次被害に遭いそうだったところを、私が食い止めました(苦笑)ところで近頃、バブルの礼賛?や総括的な本が多く出版されているのは、何故でしょうか?

2019/09/17

しんたろー

衆目の中での会長が刺殺されて記憶に残る豊田商事事件から始まって、平社員だった隠岐を主人公にした裏社会の物語は原野商法や和牛商法など実際の詐欺事件をモデルしたサスペンスフルな展開で全く飽きない。「全員悪者!」映画の謳い文句のような曲者揃いなのも面白い。隠岐が悪党なりの矜持で突き進むのもイイし、家族に疎外される哀しさも沁みる。ピンチとチャンスの繰り返しが緊迫感を持続させて500ページが長く感じず、特に終盤100ページはドキドキした。『機龍警察』やエンタメ作も見事な著者が、悪漢社会派小説も上手いことを証明した。

2020/04/11

いつでも母さん

「人を欺すためなら、自分を欺すことなんて簡単に出来る。そういうもんだろ、人ってさ。」全編通して『欺く』ことのオンパレード。もう、命尽きるまで欺き続けるしかないのだ。初めはそんなつもりじゃなかったのに、ずぶずぶと逃れられない男・隠岐がもう滑稽ですらあるのだ。人は簡単に騙される。うまい話には裏があるよね。騙される方が悪いのか?カバーは私たち衆生なんですね・・欺く奴らにいつか天罰が下れ!面白く一気読みでした。

2019/09/18

utinopoti27

安アパートで家族4人倹しい生活を送る隠岐は、詐欺会社の営業マンだった過去を持つ。ある日昔の同僚に誘われ、いやいや始めた原野商法をきっかけとして、再び詐欺の魅力に取り憑かれた彼は、次第に泥沼にはまり込んでゆき・・。より狡猾に、大胆にエスカレートしてゆく手口とともに、金の匂いに誘われて群がる魑魅魍魎たち。ついには殺人にまで手を染めながら、家族の前では誠実な父親を演じ続けようとする主人公が滑稽でもある。本作は、あの豊田商事をモチーフに、欲にまみれた「衆生」の醜い本性を徹底して描き切った著者渾身の力作。

2020/11/05

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