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計算する生命

計算する生命

計算する生命

作家
森田真生
出版社
新潮社
発売日
2021-04-15
ISBN
9784103396529
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計算する生命 / 感想・レビュー

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やいっち

あとがきで森田氏は、本書は連載や全国各地で開催してきたトークライブで少しずつ重ねてきた思考をまとめたものであるとした上で、「特に、大人のための数学教室「和から」の主催で、(中略)東京で開催してきた「『数学する身体』実践ゼミ」は、ユークリッドの『言論』や『幾何学』、フレーゲの『算術の基礎』など、本書に登場する数学史の古典を、あらためて「計算の歴史」に位置づけ、読み解いていく試みで、本書の核となる思考の多くの部分が、このゼミのなかで生まれた」と述べている。

2021/07/19

trazom

評判だった「数学する身体」より、私はこの本の方が好きだ。焦点はゴットロープ・フレーゲ。数理論理学の祖であるフレーゲが、演繹の古代ギリシャ、観念のデカルト、判断のカント、概念のリーマンの延長線上で描かれる。さらにその試みは、チューリングを経て、人工知能に繋がってゆく。大学の数学でε-δ法に出会った時、その厳密性に感激したものだが、その論理表記の基礎をなしたフレーゲの偉大さを改めて知ることができた。「計算機が人間に近付くより、むしろ人間が計算機に近付くことが危険」というドレイファスの未来社会への警鐘も鋭い。

2021/08/07

けんとまん1007

計算。数。数って、いったい何だろう?数の意味って、何だろう?そんなところから、数の意味するもの、計算することの意味。それに伴う、人間の認識の歴史。数学と哲学。興味深いのだが、それぞれの分野の知識が足りていないので、少し残念。そこがあれば、この本の面白さが、もっと増すのだろう。人間と計算、AIとの関係性がわかりやすかった。人間の人間たる所以が、そこにあるように思う。

2021/07/05

南北

言語・生命・計算を主題として数学史を概観しながら人工生命や未来予測にまで話が及んでいく。数を数えることは数詞の意味を理解することには直結しない。そこには数詞の「意味」を認識することが必要になってくる。フレーゲやリーマンが新たな数学を生み出したとき、その「意味」はすぐには見えてこなかった。フレーゲはチューリングによって、リーマンはアインシュタインによってその数学の意味が明らかになってきた。こうした数学史を哲学的に捉え直す試みは知的刺激にあふれている。いい読書体験ができたと思う。

2021/10/29

booklight

論理とはなんだろう。計算という行為を詳しく見ていくと、論理と論理でない部分がでてくる。じつは1+1=2というのは経験則だ。そういう事実を論理化して式にしただけ。では論理でない部分をどうみるか。直観?いや、そこも論理で説明できる?だから言語?論理を司る大脳新皮質と経験を貯めていく大脳基底核の融合をどう理解するか、という話になるので、結局は両方が影響しているのでは、とは思う。しかし論理を積み重ねていくことで見える新しい世界こそが、世界を唯一新しくしていくことにも思える。ま、新しくなくても別にいいんだけど。

2022/06/18

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