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球道恋々

球道恋々

球道恋々

作家
木内昇
出版社
新潮社
発売日
2017-05-31
ISBN
9784103509554
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あらすじ

明治39年春。昔は控え選手、今は小さな業界紙の編集長を務める銀平は突如、母校・一高野球部コーチにと請われた。中年にして野球熱が再燃し、周囲の嘲笑をよそに草野球ティームへ入団。そこへ降ってきた大新聞の野球害毒論運動に銀平は作家の押川らと共に憤然と立ち上がる。明治野球の熱狂と人生の喜びを軽やかに綴る痛快長篇。

球道恋々 / 感想・レビュー

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いつでも母さん

現在の夏の高校野球が始まるまでの一高VS三高OBの物語。ちょっと長いがそこは木内昇、笑いあり涙あり・・主人公・OBの銀平が時々胸に沁みることを言うんだなぁ。そうだよね、「現実世界では全て願い通りに人生叶う者などいないかもだ。」「たまには希望のままに振る舞える場があってもいい。」まったくだ。だから今、夏の甲子園に、そこまでの道程に、自分の姿を重ねたり、きらきら光る汗や涙に胸を熱くして魅入ってしまうんだ。今年もまたそんな季節がやって来た!

2017/06/19

chimako

野球はその昔「不良の遊技」と呼ばれていた。それにも関わらず野球に命をかけんと必死に進む一高野球部とそのコーチの物語。後輩たちへの行き過ぎた暴言も野球を深く愛するがゆえ。三高との因縁の一戦。早慶との戦い。白シャツ短パンにへこ帯を締めて地下足袋を履く。一高校長新渡戸稲造をして巾着切の遊戯と言わしめ、日本全国の教育者が害毒と決めつけた野球。それなのに何故、心をつかんで放さないのか。何故、やめないのか。主人公宮川の演説がそれを語る。命尽きようとする春波の言葉が芯を突く。野球とがっぷり四つに組んだ540頁だった。

2017/09/10

nico

野球好きの木内さんの描く明治時代の学生野球は、武士道精神に則った濃密なものだった。まるで軍隊のように上下関係も厳しく死をも覚悟して試合に望む。トップレベルの第一高等学校にかつて在籍していた宮本は、万年補欠で技術的には上手くなかったけれど、野球をこよなく愛する男。社会人になっても野球が忘れられない。ただ好きで夢中になってしているだけ、と笑う彼がちょっと羨ましい。宮本が住まう長屋の人達との交流もいい。特にいつも朗らかな奧さんと、根っからの江戸っ子の頑固親父が良かった。木内さんの描く下町長屋はやっぱりいい!

2017/06/23

のぶ

時代は明治30年代後半。野球の創成期の時代に、業界紙編集長の宮本銀平に、母校の一高から野球のコーチの依頼が舞い込む。前半部では野球に打ち込む連中が登場し、皆熱中しているが、一人一人に野球への愛情が伝わってくる。当時の世相と、今の野球の違いがよく表されていて面白い。中盤に入り野球への誹謗中傷が出てきて、野球害毒論を新聞が唱えるが野球を愛する皆は、そんな意見に対抗して立ち上がる。単なる野球小説に収まらず、現在の野球の隆盛につながる作品で、読後も爽やかな一冊。木内さんの新作は本作も傑作だった。

2017/07/09

みかん🍊

名門一高で野球をしていたが補欠にとどまり、家の都合で帝大へ進めなかった銀平が突然一高の野球部のコーチを任される、明治から大正にかけて、当時野球は不良になるとか野蛮とか勉強が疎かになるとか散々な言われ様、今からは想像もつかないが「野球害毒論」に対決する朝日新聞に憤然と立ち向かうのは場面は面白く人生も仕事も野球に擬えるのは今も昔も同じ、挫折があるから面白い、回り道も無駄にはならない、銀平を支える女房の明喜がいい、虐げられていた頃からずっと野球を止めずに続けてきた彼らが居るから今がある。

2017/08/24

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