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デッドライン

デッドライン

デッドライン

作家
千葉雅也
出版社
新潮社
発売日
2019-11-27
ISBN
9784103529712
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「デッドライン」のおすすめレビュー

【第162回芥川賞候補作】「抱かれればいいのに。いい男に」――気鋭の哲学者による“哲学×青春”小説

『デッドライン』(千葉雅也/新潮社)

 自分らしく生きるとはどういうことかを示唆した『勉強の哲学 来たるべきバカのために』が、“東大・京大でいま1番読まれている本!”として話題を集めベストセラーとなった哲学者・千葉雅也。その初の小説『デッドライン』(新潮社)が満を持して刊行され、各方面から高く評価されている。千葉氏は本作で第41回野間文芸新人賞を受賞。そしてこの度、第162回芥川賞候補に名を連ねた。

 舞台は21世紀になったばかりの東京。語り手の「僕」は、大学院の修士課程で哲学を研究している。次の年の12月までに修士論文を完成させなければならない状況の中で、「僕」が過ごす、あるいは過去に過ごした日々の出来事が日記のように連なって描かれる。大学院の授業や修士論文に取り組むことと同じくらいの分量で描写されるのは、「僕」が男として〈男を欲望する〉姿だ。

 ゲイバーで、ハッテン場で、公園で、あるいは大学院の仲間たちと訪れた飲み屋で、「僕」の目は自分好みの男を求める。哲学の命題について思考しているときはいかにも大学院生の研究という感じだが、ゲイバーやハッテン…

2020/1/13

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デッドライン / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

こーた

あれはいつだったか、LGBTQに対する差別を繰り返した雑誌が休刊し、おなじ出版社の文芸誌が、いま小説家にできること、みたいな特集を組んだことがあった。そこには千葉さんも名を連ねていたが、tweetのパッチワークで編まれた文章は、安易にまとめられることを拒否しているようで、あきらかに「異質」だった。論としてまとめない。当事者として異質を異質なまま語る。それが小説にできることではないか。この小説はそんなところから出発して書かれているようにおもえる。あのときまとめなかったことに対するある種の回答であり、⇒

2020/01/15

starbro

第162回芥川龍之介賞候補作品第一弾(1/5)、半分私小説?の処女小説、青春×ゲイ×哲学、芥川賞らしい作品ですが、あまり新しさはありません。受賞はないのではないでしょうか?本書にチェーンの飲食店が多く登場しますが、著者はチェーン店が好きなのでしょうか?私は大嫌いです(笑)ボヘミアンラプソディーのサントラをBGMに読みました🎶【読メエロ部】

2020/01/12

buchipanda3

哲学を院で学ぶ「僕」が自分の内面を追った日記のような青春小説。「僕」は何を「言祝ぐ」のか。自分はどうあるべきかという問いを哲学を介して求める姿が興味深かった。一定のラインを越えない円環の内側を彷徨うような生き方をする「僕」。ゲイをカムアウトし夜な夜な男と交わるもその場限りの出会いに留め、親の仕送りで贅沢に暮らし盆と正月は帰省する。それなりの日々を謳歌するもワクに留まる自分への鬱屈さが文章から滲み出ていた。やがて起きた出来事で思いがけず越えるのだが、それまでの満たされない雰囲気から解放された爽快さを感じた。

2019/11/26

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

デッドラインには向こう側とこちら側が存在する。それは一見別々の時空に存在しているかのようだ。しかし、向こう側とこちら側共、実は、デッドラインという同一線上に存在しているのだ。ということがこの小説の主張なのかな? なのに何故、物語上ではラストでデッドラインを超えてしまう必要があるのかな? Amazon商品の説明本の内容によれば<修士論文のデッドラインが迫るなか、動物になることと女性になることの線上で悩み、哲学と格闘しつつ日々を送る「僕」。>というお話なのだそうだ。

2021/03/14

うののささら

哲学とゲイか、三島由紀夫みたいだな。二作目でオーバーヒートは面白かった。知らない言葉を調べてながら読むのが好きなので好きなタイプの作家だが個人的だがゲイの描写がきつかった。デッドラウンは修士論文の締め切りか。哲学とは極端な概念。語っていると高揚してくるので学生のとき狭い部屋で丸くなって語ったが今となってはなにも覚えてない。言葉には複数の解釈があり誤解され勝手に解釈されることもある。胡蝶のゆめの事実はどこにあるのか。次回期待かな。

2022/08/20

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