KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

名探偵のはらわた

名探偵のはらわた

名探偵のはらわた

作家
白井智之
出版社
新潮社
発売日
2020-08-19
ISBN
9784103535218
amazonで購入する

ジャンル

「名探偵のはらわた」のおすすめレビュー

局部を切り取る連続殺人、病院や学校で大量虐殺! 歴代の凶悪殺人鬼が“蘇る”ミステリー、名探偵はどう解決する?

『名探偵のはらわた』(白井智之/新潮社)

 現実は小説より奇なり。愛する男を殺害し、その局部を持ち去った女。一夜にして30人の村人を猟銃と日本刀で殺した青年など、創作上の殺人鬼顔負けの犯罪者たちは、日本にも数多く実在する。

 もし彼らが現世に蘇り、殺戮を繰り返し始めたらどうなるか。この現実にはあり得ない設定を本格ミステリー小説に落とし込んだのが『名探偵のはらわた』(新潮社)だ。著者は食用のクローン人間が飼育される世界、全身に人面のような瘤ができる奇病に感染した女性が性的サービスを行う風俗店など、ゾッとするような特殊設定を用いたミステリー作品を手掛けてきた白井智之氏である。

 本作では、かの「八つ墓村」のモチーフにもなった大量殺人事件や、自動販売機に農薬を混入させたジュースを置いておくという無差別殺人事件など、昭和の時代に人々を震撼させた凶悪殺人犯たちが“鬼”となって現代に蘇る。殺戮を繰り返し始めた鬼たちを、“名探偵”が成敗する、というのが大筋だ。

 鬼が蘇り、人を殺すという非現実的な設定のため、本作は一般的なミステリー小説とは一線を画す。しかしその特殊設…

2020/8/29

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

名探偵のはらわた / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

青乃108号

装丁画にだまされて。名探偵のはらわた、ってこの赤い女の子の事じゃないのか。とは言うもののタイトルこそアレだけど、意外にもちゃんと本格派のミステリーである事にびっくり。感じとしては【屍人荘】シリーズに近いかな。短編4話収録だが、どの話しも密度が濃く、また各話が絶妙に関連しあっていたりするので、読者も頭フル稼動。結局、装丁画のキャラクターは誰なのか最後まで判らずじまいだったが。あと残り3話、語られないと決着がつかないはずなので続編ありきの1作目といったところ。次回完結編【名探偵のはらわたII】期待して待て!

2022/07/25

みっちゃん

私的には「超」がつく面白さだった。いつものゲロゲログログロ(スイマセン)を思わせるタイトルの意味には序盤からずっこけましたけど。「名探偵登場」の場面から「わあ、こうきたか!」と胸が高鳴る。昭和の猟奇事件とホラーの絶妙な融合、もう大好物。作者の何重にも張り巡らされた仕掛けに嵌まりながら、頁を捲る手が止まらず。終盤の作者ならではの「津山三十人殺し」の解釈には唸らされた。まともな感じでも、白井作品半端ない。

2020/11/21

やっちゃん

クラシカルな雰囲気がたまらない序盤だったが時代は現代、あっさりいくはずもなく信じられない奇抜な展開に驚くしかない。とにかく無駄のない濃厚なミステリで3冊分を煮詰めて一冊にした感がある。すごいプロット。動画に話しかける古城が笑えた。

2023/06/09

buchipanda3

読み始めて早々にタイトルの意味を知り、えーっとなるが著者らしいとも思った。しかもその後にそれだけじゃないよという感じを見せてくるのも。さらに本作のメインの筋立てに持っていく舞台の整え方がまたひとクセもふたクセもあって、仕掛けのためのハチャメチャぶりを披露。そして特異なミステリ作家による昭和の異様な犯罪への挑戦が幕を開ける。元ネタの事件は有名だが詳細までは知らないので着眼点の鋭さまで判別できないが、容赦ないロジック詰めを堪能した。今回酸っぱい感じは抑えめ。でも終盤の渾身の仮説推理はガッツリと。これは続きも。

2020/08/27

普通に面白かった。いや全然普通じゃないんだけど白井さんにしてはこれは普通の範疇だろう。著者の作品も三作目となると、こちとらちょっとやそっとのげぼでは動じなくなっているので私自身の肝が据わってきた気がする。はじめは堅実な雰囲気のミステリーかと思いきや、急展開でキテレツな設定へと突入する。キテレツなんだけど妙に話に筋が通っており、実際の事件をベースにしているというのもあってすんなり物語に入っていけた。覚えきれないくらい伏線&回収があって全てを納得できたかは疑問だが、文章は冴えていて随所にセンスを感じる一作。

2023/11/17

感想・レビューをもっと見る