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令和元年のテロリズム

令和元年のテロリズム

令和元年のテロリズム

作家
磯部涼
出版社
新潮社
発売日
2021-03-26
ISBN
9784103538714
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令和元年のテロリズム / 感想・レビュー

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hatayan

2019年に起きた川崎市のホームレス襲撃事件、京アニ放火事件、農水省の元事務次官が息子を殺害した事件を、就職氷河期前後の世代が起こした同時代性のある事件としてルポ。農水省の元次官の事件では2章を割き、被害者のTwitterの過去ログを解読。親の権威を笠に着て引きこもり両親に暴力を振るっていた被害者の素行を詳らかにしながら、「どうしようもなさ」を切り捨てるのではなく向き合う姿勢が求められていると問題提起。1970年代の「青い芝の会」運動に重ねながら、彼らが社会に訴えたかったものが何かを考えようとします。

2021/04/27

踊る猫

どこで間違ってしまったのだろう、という犯人や被害者の嘆きがそのまま聞こえてくるようだ。鬱屈した不満やその根底にある登場人物たちの生きづらさに著者は想像力を最大限に駆使して寄り添い、言葉にしようとする。とはいえ敢えて語弊のある言い方をするとその筆致の手つきは「文学的」にも感じられる。事件を闇雲に社会学的にデータとして整理せず、人間の行為として捉え見えない「闇」に肉薄する覚悟が感じられるのだ。だが、この本は鎮魂に傾倒しすぎて出口が見当たらないので、そこをどう評価するかが割れ目となるのではないか。誠実ではあるが

2021/05/06

JunTHR

川崎殺傷事件、元農林水産省事務次官長男殺害事件、京都アニメーション放火殺傷事件の3つを「平成の間、「先延ばし」にされこじれていった問題の発露」として、事件の経過と事件に至る道筋を辿るルポであり、その視点から行う社会批評でもある。今時なかなか珍しいタイプのルポで、非常な読みごたえがあった。見田宗介、秋山駿らの名前を出すあたり、著者の気迫を、気合を感じた。今後にも、さらに期待。 「青い芝の会」が出てきたことに、最近の関心と重なり、驚く。(安易に言えば、川崎は、青い芝の会によるバスジャック闘争の場でもある)

2021/03/29

せい

山谷佑介のモノクロ写真が、文章のゾワゾワする余韻をより深く確かなものにしている。「自己責任」「特殊な人の起こした事件」といった突き放したような空気が蔓延し、次から次へとニュースが消費されていくこの国に、もう一度立ち止まって考えることを促す凶悪事件の精神分析。川崎市南部の文化とそれを担う人々を描いた『ルポ 川崎』と地続きな川崎市北部から出発し、土地と"文化に救われなかった人々"を腰を据えて描いている。社会で考えるべき問題を個人に押し付けて見ないふりをしていないか?という今最も必要とされている問題提起。

2021/03/26

kentaro mori

『狼をさがして』という映画を見た。日本の爆破テロをめぐる映画だ。その行為は許されないことかもしれないが、彼らには大義があった。その思想や彼らがそこに向かった理由は理解することができる。対して現代の「テロリズム」はどうだろうか。そこには何があるのだろうか。何故「弱い者」を殺める方へ向かってしまうのだろう。倒さねばならないものは他にあるはずなのに。

2021/04/11

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