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道化むさぼる揚羽の夢の

道化むさぼる揚羽の夢の

道化むさぼる揚羽の夢の

作家
金子薫
出版社
新潮社
発売日
2021-07-29
ISBN
9784103541714
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道化むさぼる揚羽の夢の / 感想・レビュー

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アキ

蛹の中で汚物まみれで吊り下げられている。蝶になるまで何か月も。拘束を解かれた機械工は地下世界で人工の蝶を作り始める。理由もなく監督官に鉄の棒で殴られながら。主人公は理不尽な人工世界に、自然に道化師アルレッキーノになって生きる術を体得する。仲間を増やし、天空座を立ち上げる。そこで天野は選ばれて地下の街に住人として認められる。しかしそこで現実か夢か、嘘か真実かわからないまま、揚羽蝶になり天高く飛んでいくことを夢想している。地下世界を舞台にした胡蝶の夢を連想させるSF小説でした。独特な世界の金子薫初体験でした。

2021/10/04

Koichiro Minematsu

生きている無意味なのか、死んでいる無意味なのか。全てが無意味なディストピア小説。どこに、何に命を見出せばいいのか。

2022/01/22

メタボン

☆☆☆ 虚構だとわかっているがゆえに、この破天荒な物語に意味を求めてはいけないのかもしれない。蛹から蝶になり(しかも衣装によって蝶を表すというハリボテのもの)、監督官に殴られながら金属の蝶を作る。当然その蝶は生きるも死ぬもないのに、生きているか死んでいるかその数を数える。全てが天野の頭の中の出来事か?「壺中に天あり獣あり」と「鳥打ちも夜更けには」にも重なる世界観だった。

2021/12/08

マリリン

蛹(拘束具)の中は母親の胎内なのか。そう捉えると、空理空論であっても背後の思想が見えてくる事で、俄然作品が面白くなる。作品の中に天・人・地をさりげなく据えているような。監察官に打たれつつ道化として生きる道を見出した先に、揚羽が舞う世界の構築を夢見たのか。疲労し苦悩し、再び蛹の中に戻るのは、前作「鳥打ちも夜更けには」(3回読んだ)により絶たれた天野の生命が甦る物語と思ったが、再び蛹の中に帰す。次作が楽しみだ。尾を切られた蜥蜴のように再生するのか。卦に例えれば山水蒙か水山塞か

2021/10/06

けんさん

『自由のない檻の中で翔び方を忘れた揚羽蝶』 金属製の蛹から開放されたと思ったら、金属製の蝶を作らされ、意味もなく棒で叩かれる。そんな理不尽で異様な世界を描いた作品。蚕に変えられ工場で働く少女たちを描いたカレン・ラッセル「お国のために糸を繰り」を彷彿させる世界観。

2021/12/07

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