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怪談小説という名の小説怪談

怪談小説という名の小説怪談

怪談小説という名の小説怪談

作家
澤村伊智
出版社
新潮社
発売日
2022-06-30
ISBN
9784103546412
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『怪談小説という名の小説怪談』(澤村伊智/新潮社)

僕の話  次のパーキングエリアに止まった瞬間、真柄さんは「洒落にならんわボケ!」と堀さんを怒鳴りつけた。窓がビリビリ震えるほどの大声で。堀さんはもちろん、僕まで座席から飛び上がった。  身体を丸めて子供のように泣きじゃくる汀さんを、石黒さんが優しく抱きしめていた。 「申し訳ありません、やりすぎました」  運転席で正座すると、堀さんは後ろに向かって深々と頭を下げた。僕は助手席で脱力したまま皆の様子を眺めていた。  石黒夫妻を残して車を降り、真っ暗な駐車場で、僕と真柄さんは堀さんに説明…

2022/8/15

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『怪談小説という名の小説怪談』(澤村伊智/新潮社)

堀さんの話  僕は呆然と堀さんの笑顔を見つめていた。彼は口を開くと、 「澤口さんと僕は初対面です。今日顔を合わせることも知らなかった」 「……はい」  訊かれているのだろう、と思って僕はそう答えた。 「石黒さん夫婦も同様です」  振り返ると二人はかすかに頷いた。困惑した表情で顔を見合わせ、身を寄せ合う。 「そして真柄さんは」堀さんは声を大きくすると、「宇都宮さんに頼まれて承諾しただけです。まだ空きはあるか、知り合いの堀という編集者も連れていっていいか、と」 「そうなん?」  石黒さ…

2022/8/14

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怪談小説という名の小説怪談 / 感想・レビュー

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starbro

澤村 伊智は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。ヴァラエティに富んだ怪異譚の短編集、オススメは、『高速怪談』&『笛を吹く家』です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/354641/

2022/09/15

kou

色々な種類の怖さが詰まっており、どの短編もゾクッとする読後感だった。自身としては「こうとげい」が怖かった。

2022/09/09

のぶ

澤村さんらしい怪談小説集。7篇の作品が収められているが、作品ごとの関連はなくそれぞれが独立している。怪談って子どもの頃にはよく聞いたり伝えたりして、本気で怖がって楽しんだ記憶があるけれど、そんな記憶を思い起こさせてくれるような内容だった。学校の怪談の世界だったり、都市伝説に根差しているものだったり、本作にはそんな要素が詰まっていて楽しかった。深夜の高速道路で始まる怪談会、子連れで散歩中に遭遇した呪いの物件、夕暮れの学校を彷徨う幽霊等。どれも怪談でありながら小説の体裁を成しているのがタイトルの由来かな?

2022/08/08

みっちゃん

待ってました!これこそが私の求めていた澤村伊智だ。まさにザ・「怪談」読んでるだけの者の背後にもひたひた、と近づいてくるような臨場感、ただ怪異が起きるだけではなく、それまでの世界がぐるん!と裏返るような驚きの結末、そして読み終わってもまだ何かが明らかになってないような不気味な読後感。どれも粒揃いだけど敢えて、と謂えば最終話『怪談怪談』霊能者への取材のやり取りと夏休みの子ども合宿の日記と音声記録。交互に現れるものに何の関係が?と思ったら。とんでもない真相。ラスト2行が怖すぎる。鳥肌が止まらない。

2022/09/30

nobby

澤村さんらしさ満載のホラー短編7つは少し寒気覚える位がいい感じ♬いわゆる怪談小話に始まり軽めから本場モンまで民俗や伝承、エグさ極まる怪異に加えて最大の恐怖はやはり人間の怨恨か…ラストの捻りやオチでゾクッとさせる上手さは健在!お気に入りは「苦々陀の仮面」低予算ホラー映画スタッフが巻き込まれる顛末を生々しく想像しながら追うのがいい!「笛を吹く家」「うらみせんせい」の終盤で、そっちか!?とハッとさせるミステリ作家ならではの展開もお見事!幸せ一辺倒から訳も分からず混乱に陥る「こうとげい」その風習は何とも怖過ぎる…

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