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プリンシパル

プリンシパル

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作家
長浦京
出版社
新潮社
発売日
2022-07-27
ISBN
9784103547112
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プリンシパル / 感想・レビュー

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W-G

突き抜けた過激さで読ませる一冊。暴力のスケールの大きさと、徹底された非情さで読者を惹き付ける劇薬的書物。一気読みさせる熱量が込められているのはたしかなものの、視点人物が綾女一人で、ウィンスロウの織り成す群像劇のような奥行きはなく、ラスボスポジションの熊川がぽっと出に感じられ、その強力さが説得力に欠ける。水嶽の幹部連中が割りと一本気なヤクザばかりで、あっさり綾女に従うあたりも、少し物足りなくはある。しかしまぁ、この時代設定で、女性を主人公にしてここまで荒んだ物語を仕立てただけでも、じゅうぶんアイデア賞。

2023/01/20

starbro

長浦 京、3作目です。表紙絵とタイトルから、サスペリアばりのバレエ・ホラー・ミステリかと思いきや、終戦混乱期任侠家族抗争大河小説でした。ずっしりと読み応えがありました。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000626.000047877.html

2022/09/28

青乃108号

終戦直後、一介の女教師綾女が暴力団組長の父死亡の為、無理やり組の跡目を継がされ次第に組織の女ボスとして頭角を現し、組織もGHQや日本政府の重鎮達と渡り合いながら次第に日本を支配する権力を得るまでに成長する。血で血を洗う組織間の抗争、繰り返される裏切りと復讐。綾女の辿る運命は。こう書くといかにも俺はこの本を読み込んだように見えるがこの作家、丹念に描く部分と地の分でさらっと経過を語る部分のバランスが明らかに巧くなく、どうもストーリーに乗って行けなかった。登場人物が多すぎ整理出来ない俺の頭がポンコツ過ぎるのか。

2023/05/28

のぶ

大変に読み応えのある本だった。物語は終戦の日に始まる。東京で関東最大級のやくざ組織の水嶽本家でその一人娘である綾女は父の死により、突如、正統後継者の兄たちが戦地から帰還するまで代行役となることを余儀なくされる。最初はやくざの世界など関心がなかった綾女だが、次第に権力と暴力の魔力に魅せられていく。物語は戦後の10年を描いているが、当時、やくざが必要悪として社会ではびこっていたか、また徐々に社会的な組織として変貌してゆく姿が描かれている。文章に筆力を感じ史実に基づいた描写は圧巻。今年のベスト候補の一冊。

2022/08/21

モルク

大嫌いだった父の死により、ヤクザの親分となり戦後を駆け抜けた綾女の10年。東京女子高等師範付属高等女学校の教師だった彼女は、無理矢理跡目を継がされることとなったが、GHQや新政府の重鎮と密月を作り次第に商事会社の名の元に拡大していく。組織間での抗争、裏切りへの容赦ない制裁シーンは目を覆うばかりのものである。兄弟、身内であっても容赦ない、それが任侠の世界。あの人がモデルと思われる人気少女歌手を慈しみ、時の総裁も利用し利用される。戦後の裏社会は凄まじい。

2023/06/12

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