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署名はカリガリ: 大正時代の映画と前衛主義

署名はカリガリ: 大正時代の映画と前衛主義

署名はカリガリ: 大正時代の映画と前衛主義

作家
四方田犬彦
出版社
新潮社
発売日
2016-11-30
ISBN
9784103671091
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署名はカリガリ: 大正時代の映画と前衛主義 / 感想・レビュー

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『カリガリ博士』に代表される所謂表現主義映画が日本の映画業界にどのような影響を与えたかが、谷崎潤一郎、溝口健二、衣笠貞之助の三人を対象として語られる。谷崎は当時の時代背景のせいでユートピア的想像力によって小説の中でその夢を叶える事しかできず、溝口は皮相な表現主義理解によって失敗した。だからこそ、大衆娯楽の延長線上にあった当時の映画の観念に対して真っ向から挑戦した『狂つた一頁』は(そのフィルムの両義性と近代日本の、伝統を欠いた前衛概念の輸入)にも関わらず、前衛的試みの最初の勝利なのだという結論が感動的だ。

2017/01/01

あんすこむたん

「カリガリ博士」の日本での影響をまとめた評論。現存しない作品を残された資料で語るという難しいことをしてることはすごいが、かなり専門的で(現存しないものからするのだから)仕方のないことだが、推測がやや多くなっている。結論として「ドグラ・マグラ」にもつながるらしい。

2018/09/03

千恵蔵

谷崎潤一郎、溝口健二、大泉黒石、衣笠貞之助の理想の具象化についてのお話。前三者はそれに(ほぼ)挫折している。時が下り、衣笠は大映倒産に際し鉄屑の中から拾い出した8ミリで作品を撮ろうとしていた。その自由を称揚する著者が意欲を示した黒石についての本の完成が待たれる。

2018/02/26

ドイツ表現主義映画「カリガリ博士」に影響を受けて始まった大正映画シーンの評論。「精神異常」「猟奇殺人」などをテーマとした未知なるものとの遭遇により、伝統的な美学への造反運動が日本で起こる。当初は検閲制度の厳しさと、映画観客の未成熟、稚拙な映画表現技術などによりアングラな印象(それが魅力でもあるのだが)は否めないものの、近代国家へと発展していく日本の社会から取り残されてしまった人々の怨念が、粗悪なフィルムのノイズに乗り移っているのは、ホラー映画の元祖のようだ。西洋のフィルムに霊感を付与したのがこの時代。

2017/10/19

ルンルン

大正時代、前衛、カリガリ、という表題。そしてなにより宇野亜喜良さんの表紙絵にひかれて手に取りました。 映画製作の手法についての分析などは専門的すぎて難しくもありましたが、大正時代の前衛的な試みについて知ることができたいへん興味深く読み進めることができました。

2017/03/31

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