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死の医学への日記: 画集

死の医学への日記: 画集

死の医学への日記: 画集

作家
伊勢 英子
柳田邦男
出版社
新潮社
発売日
1996-10-01
ISBN
9784104139019
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死の医学への日記: 画集 / 感想・レビュー

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kanegon69@凍結中

伊勢英子さんの絵を求めて辿り着きました。いつもの淡い水彩画でもなく、いのちを感じる力強い油彩画でもない。あえて言うなら、その両方をあえて鉛筆だけで表現しているような画集です。白黒の濃淡だけで勝負した絵たち。デジタルフルカラーでも表現できるのにここでは白黒映画で勝負しているようで、だからこそその中に深みを感じ、確かに何色もの光を感じます。神秘的にさえ感じてしまう世界観で「死の医学」の本書に添えられた絵の力。縦長の絵は思わずクリムトを連想してしまいました。これはまた新しい伊勢英子さんの世界観を見た気がします!

2019/12/13

ぶんこ

『「死の医学」への道』の本の存在を知ってから、やっと画集を手にすることができました。鉛筆画だけの伊勢さんの絵は、タッチが優しいだけに余計に「死」を感じてしまいます。文中柳田さんが『「死の医学」とは、患者が精神生活において最後まで生を全うできるように支援する「生の医学」なのだ。』と書かれていました。実母の看取り、埋葬、そしてコロナ禍、喘息持ちの私は息苦しい死を身近に感じて柳田邦男さんの本を読む気力は無く、伊勢さんの画集止まりになるでしょうが、読後の今は幼い女の子の絵から漂うほんわかした空気に包まれています。

2020/08/25

マリリン

鳥が飛び交い、こちらに視線を向けていない、または目が書かれていない人間の絵が印象的。 現代は自分で自分の死を創らなければ、よき死を手にするのがむずかしくなっているというが、よき死とは...考えまい。最良の死などないと思うから、ほどよいくらいがちょうどよいのでは。一番興味深かったのは楽譜の一部が書かれている楽曲。アヴェ・ヴェルム・コルプスや、悲愴の第2楽章等好きな曲が多い。楽譜通りには弾かない邪道な弾き方だが、この季節になると無性に弾きたくなるのは降誕祭が近づいてきたからか。

2019/11/13

ネギっ子gen

宝物の画文集。時々眺めて癒される――。毎日新聞に週一回連載された柳田邦男著『「死の医学」への日記』を、挿画(鉛筆画)付きでの再構成。絵師の伊勢英子さんは、まだ当時は柳田先生とは再婚されてないが、ふたりの魂の共鳴音が聴こえてくるよう。帯に選ばれた伊勢さんの文章。<『「死の医学」への日記』の文中に、私は風の入り口をさがす。しずかに遠くで光ることばをさがしながら、作家の描く風景のむこう側を透かしてみていた。耳を澄ませて>。詩的な囁き。そう、耳を澄ませば、チェロの音色が。その曲は……バッハの『マタイ受難曲』か……

2019/09/10

BLANCA

お気に入り様のご紹介本。私はいせさんの描く子供の絵が大好きです。この本に描かれた子供たちも、モノクロなのに色や音、気配や体温を感じます。タイトルが「死の医学」だからか、子供たちには目が描かれていません。それでも海辺の潮風や、お花畑の暖かさ、土砂降りの雨の音、繋いだ手の温もりが分かります。私はブランコに乗って、風を全身で感じている子の絵が好きです。髪の毛が優しい風に吹かれ、ブランコに身をゆだねている様子が楽しそうにも見えるし、何かを振り切っているようにも見えます。いせひでこさん、大好きな作家さんです。

2023/07/11

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