雨男、山男、豆をひく男
雨男、山男、豆をひく男 / 感想・レビュー
多田幾多
濃厚で生々しい、官能的なのに不快感を感じない。なんだか、古くておしゃれな映画を見ているような…気分。
2013/08/25
SIGERU
言葉の律動よりも、発見の新しさで成り立っている詩集。その典型が「言葉がまだ」。エッセイでも書ける内容かもしれないが、切りつめた言葉で語られると、ずしりと重い何かが残る。こういう詩だ。友人の城ケ崎さんは、いつまでも少女のようにあどけない人。そんな彼女が、友だち同士の他愛ない心理テスト遊びに加わって、ある設問に「したいナ」と解答。だがその設問は、性的な欲望度を示すものだった。うろたえて恥ずかしがる城ケ崎さん。罪を犯してしまったような心の痛みを覚える作者。城ケ崎さんは、ほどなく、子宮ガンで亡くなった。
2021/04/21
tom
久しぶりの小池昌代。この人の小説はかなり好き。詩の方は、ほとんど分からないのだけど、小説の新作がここのところ出てないようなので、まあ、いいかと借りてくる。冒頭の「男たち」はなかなか良い感じ。ただし、私の頭では、詩についてのコメントなんて書くことができない。
2017/11/13
ちいさな図書館
ごく短いオムニバス映画を見ているような雰囲気の、その光景が目の前に浮かんでくる詩集。小説を読むように読めて、詩集に持つハードルの高い感じが全く無かった。男性について書いた詩より、女性について書いた詩のほうがより生々しく体に染み渡るように感じられるのは、作者が女性だからか私が女性だからか、はたまたその両方なのか?いずれにしても、すごく好きな言葉たちだった。
2012/05/01
さく
小説が良かったので詩を読んでみた。「男たち」「女たち」「水源へ」と三つのテーマがある。「女たち」の中の「言葉がまだ」というのが良くて、4ページの中に物語がギュッと詰まって、最後悲しみに耐える様子を水溶き片栗粉の上澄みに例えるなんて。すごい。詩集は図書館で借りるには不向きというか、手元に置いて何度も読んでいるうちにふと入ってくるようなものだ。でも読みたいものすべてを買うことは叶わず、借りてひとつでも響くものに出会えたら嬉しいし、それが今の私を表しているかとも思う。でもホントは買うべきですね。
2020/08/21
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- aka
- 出版社
- 光村図書出版
- 発売日
- 2023-06-26
- ISBN
- 9784813804383