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生命と偶有性

生命と偶有性

生命と偶有性

作家
茂木健一郎
出版社
新潮社
発売日
2010-08-01
ISBN
9784104702039
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生命と偶有性 / 感想・レビュー

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踊る猫

確かなロマンティシズムを感じる。科学という客観が重視される世界の中において、茂木健一郎はもちろん豊富な研究データを引いて鮮やかに事態を分析しながらそこに独自の文学的感受性に裏打ちされた思索を走らせる。そこから見えてくるのは果たして「偶有性」を恐れない態度、不確かなものを見据える勇敢さだ。この態度は(決して笑い事ではなく)岡本太郎の「爆発」にも通じるものがあるだろう。その時その時にその場で出会ったものに驚き、そこから自らを解体し再構築する。私もそんな自己解体を行わなければ成長できないが、なかなか真似できない

2023/01/20

みんと

人間は生きてゆく中で、常に安定性を求め、学歴を気にし、大手会社に就職したり、永遠と信じる愛を手にするため結婚という手段をとったりする。 しかし、生きている限り、偶有性の海の中を泳いでいるのと同じで、全てが変わってゆくし、最高の状態を保てる保証などどこにもないのである。 偶有性を直視し、認めた上で覚悟をするしかないのだ。安全、確実さを求め過ぎると、生命を育む空気であったはずの偶有性を失うことになる。 暗闇のなかであがき続ける私達の心の中にさまざまなクオリアが輝くことを期待し生きてゆくのだ。

2010/11/06

anco

偶有性やクオリアをテーマに書かれたエッセイ。文学的な表現が素敵でした。

2015/08/29

rikuem

深淵で暖かく、エッジの効いた文体は流石。生命の根源について、偶有性について語っていて、その文体も相まって理解することが出来る。読後、言いようのない感覚に捕われた。これがクオリアか。

2010/09/17

Phycology

形が定まった状態ではなく、どこに向かうかわからない姿は、未分化であるがゆえの危うさを内包していると同時に、固まってしまっては失われる爆発的な生命の気配を伴っている。見知った領域から離れた精神の異界への飛躍を敢行しなければらならない。倦まずに、停まらずに。自らの存在を脅かされるときに、もっとも純粋な形で生の悦ばしき知識を得ることができるのだ。p55これも読む人が読めば役立つ本なんでしょうね。

2011/08/13

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