KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

西南の嵐: 銀座開化おもかげ草紙

西南の嵐: 銀座開化おもかげ草紙

西南の嵐: 銀座開化おもかげ草紙

作家
松井今朝子
出版社
新潮社
発売日
2010-09-01
ISBN
9784104742035
amazonで購入する

西南の嵐: 銀座開化おもかげ草紙 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

藤枝梅安

薩摩に帰った西郷隆盛の動きが、東京に変化をもたらす。最愛の人を亡くした宗八郎は、宿敵を討つことのみをよすがとして生きている。そしてついにその男が目の前に現れる。薩摩出身の警察官が官軍として田原坂の戦いを経験し、東京に戻ってくる。運命のいたずらは、非情にも人と人とのつながりを断ち切ろうとする。宗八郎が再び「人」として生きていく道のりは遠く険しい。民を思わぬ政治家たち、「人の死」に鈍感になっている人々。明治初頭を描きながら、筆者は同じ過ちを繰り返している現代人への疑問と警鐘を鋭く突きつけてくる。

2011/07/09

星落秋風五丈原

腐敗は始まり、旧士族は血気に逸り、政府は西郷隆盛を挑発して戦を仕掛ける。旧幕臣、久保田宗八郎の目に浮かぶのは、上野を一日で焼き尽くした戊辰の役と蛮行の数々。文明開化というが、何も変わっちゃいない。そして宗八郎にも決戦の季が訪れようとしていた。ああ、これで終わりなんですね。

2012/03/25

カツイチ

シリーズ最終巻。明治初年、瓦斯灯が灯り馬車道が通る銀座の煉瓦街での物語りに、明るく陽気な話を期待し裏切られた第1巻。新しい時代に馴染めない戸惑いと過去を悔やむ思い。主人公の屈託は時代の空気の一部でもある。旧士分の暴発は新政府には試金石となり、また一つ新しい時代が幕を開ける。大勢の死に、時代劇のようなドライな気分にはなれない。銀座煉瓦街に別れを告げた宗八郎はどこに流れていくのか?ちなみに煉瓦造りの家は、夏は湿気て冬は監獄のように寒くて、日本の場合、見た目ほど洒落てはいないらしい。

2011/03/02

kishikan

維新により武士社会が終わり、明治という新たな社会を築き始めた日本。しかし、そこには様々な制度の歪みが生じ、翻弄させられた人達がいた。文明開化という華やかな歴史の裏に隠れたサムライや町人、女達を描いた、巨編「銀座開花おもかげ草紙」の完結編。今回は西南戦争を通し武士社会の終結を描いているが、これまでのシリーズのような熱くなる想いというものが伝わってこない。比呂さんの最期に語る一言ひとことは心に沁みる言葉だが、宗八郎が維新を通して何を見出したのか伝えて欲しかった。松井さん、これで本当に終わりなのでしょうか?

2011/01/17

akubineko

時代の節目に立ち会ってしまった人達。価値観がガラリと変わり、時流に乗れる人、取り残される人が居る。新しい価値観に希望が見いだせないのは、今も同じかも知れない。でもなあ、宗八郎の心の落とし所を、こんな形にするなんて、、。  それでも、時代は流れていく。

2011/03/27

感想・レビューをもっと見る