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ガラスの街

ガラスの街

ガラスの街

作家
ポール・オースター
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
2009-10-31
ISBN
9784105217136
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ガラスの街 / 感想・レビュー

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旅するランナー

ニューヨーク三部作の1作目。探偵小説の作家が巻き込まれる、摩訶不思議な事件。「ポール·オースターさんですか?」っていう間違い電話から始まる、自分が自分でなくなる物語。ミステリー? ファンタジー? 文学評論? ジャンルを超越しています。そして、バベルの塔、カスパー·ハウザー、ハンプティ·ダンプティを通して、言語を哲学します。これは、現代のドン·キホーテなのかもしれません。

2022/04/21

藤月はな(灯れ松明の火)

色々、既視感を覚える不思議な読書体験を味わえました。出だしは原尞の『私が殺した少女』っぽいし、展開はブコウスキーの『パルプ』のように面妖。クイーンという名からしてアガサ・クリスティの謎めいた探偵、クイン氏を思い出すし、内容も安部公房の『燃え尽きた地図』がフラッシュバックするような都会における個人のアイデンティティの揺らぎを描いている。既視感をツギハギに合わせたようでいてオリジナルというこの作品はまるで「人間そのもの」のようにも思えるから不思議だ。

2017/03/22

ひらちゃん

探偵小説かと思っていたので理解出来ないまま読み終わる。何も解決しない探偵(まずここからして間違い電話から始まった)。そこが魅力?独特の描写は美しく読むのは止まらない。終始一貫性のない行動に困惑するばかりだが、クインがゼロになってゆく様は何故か惹かれるものがある。なんだか分からない感想になってしまったのは私の読解力の至らないせいだろう。

2017/07/11

かりさ

真夜中に鳴り響く間違い電話から物語は始まります。ポール・オースターという探偵を探す電話。やがて主人公は探偵になりすまし事件を追うことに。依頼者に会う場面から様相は狂気に満ちてきて、読み手も翻弄されます。ピーターの独白に引き込まれ、一体どう導かれてゆくのかと読み進めて行くごとに恐怖感が増してゆく。自分の存在意義とは。本当の自分とは。こんなにも確固たるものが脆くも崩壊してゆく危うさ。すごい。ポール・オースター初読みでしたが、魅せられました。

2015/08/15

作家クインの元に、ある日見知らぬ人物から電話がかけられる。「ポール・オースターですか?」という問いに肯定の返事をしてしまい、クインは私立探偵ポール・オースタとして電話の主ピーター・スティルマンの家を訪れることになる。幼い頃に父親から虐待を受け精神がおかしくなってしまったピーターの依頼は、13年ぶりに釈放される父親からピーターを守ってほしいということだった。最初は探偵物かと思ったが、途中で違うことに気づく。物語は異常で、主人公であるクインの思考回路でさえも理解不能で恐ろしい。★★★☆☆

2020/10/16

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