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サンセット・パーク

サンセット・パーク

サンセット・パーク

作家
ポール・オースター
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
2020-02-27
ISBN
9784105217211
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サンセット・パーク / 感想・レビュー

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やいっち

ポール・オースターである。それなりに読んできて、オースターワールドに馴染んできた。自分にとっての新作を読むたび、今度はどんな手で吾輩を小説の世界に巻き込むのか。ほんの少々高みの見物ならぬ冷ややかな姿勢で読み始めたのだが、悔しいかな一気にオースターの術中に嵌ってしまう。それぞれに個性的なアメリカの若者たちは、逆巻く波に抗いなんとか泳ぎ切ろうとするのだが、一寸先も見えない未来へと呑みこまれるようにして突っ込んでいく。文学の妙味をたっぷり味あわせてくれる。

2020/05/12

どんぐり

『インヴィジブル』に次ぐオースターの最新作。ブルックリンのサンセット・パークにある空き家に不法居住する若者3人とそこに合流する青年マイルズ・ヘラーの再生の物語。兄の事故死と自責の念、義母と父親のもとからの出奔、フロリダで女性と出会い7年ぶりに戻ったニューヨークで再起をはかるマイルズの軌跡をたどる。自分を責めることをやめれば生きやすいのに、それができないからつらい。希望があれば生きていけるぞ、マイルズ! 本編とは関係ないが、本書のなかに出てくる『我等の生涯の最良の年』のエピソードが面白い。この映画に出演した

2020/08/04

Willie the Wildcat

困惑と彷徨で辿り着いた”安息所”。指標/反面教師として、仲間との適度な距離感を保ちつつ、自分自身を模索し旅立つ。これまでの価値観の転換と、その転換が齎す不安を4人の同居人が語り掛ける。本著最後の”決意表明”が、時勢も踏まえた現実解。未来/希望/今/瞬間。必ずしもHappy Endでないところが、目の前の現実であり現代社会への呼びかけ。結末で描写した”決意”への意気込みの男女差は、(性別に起因した理由ではなく)覚悟、腹の括り方の違いではなかろうか。時代に即した青春群像だとは思うが、少なからず読後に寂しさ。

2021/11/13

kazi

翻訳されるのをずっと楽しみにしていた本、読み終ってしまい寂しい気持ちです。大不況下のブルックリンで霊園そばの廃屋に集い不法居住する若者たちを中心にした群像劇。少年期のトラウマ、野球・映画文化への深い造形・貧困・人生を大きく動かす偶然の出来事など、オースター作品おなじみのテーマが目白押しでした。本作はどのオースター作品にもましてオースター的な作品。社会的に苦しい立場にいる人たちの話ですが、全体的なトーンはどこか明るく楽観的なものがあり、その点オースターの作品ではのブルックリン・フォリーズに近いものを感じた。

2020/03/01

tokko

親と子、夫と妻、恋人、友人…。人と人の間には大小様々な関係が存在するけれど、一つとして同じ関係、同じ類例は見られない。そうなるべくして集まった四人が、先行きの見えない未来に怯えながら希望を見出すための共同生活は、最初から破綻するように運命づけられていた。救いようが無い物語なんだけど、それほど悲壮感が漂わないのがオースターらしいです。

2020/03/21

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