LAヴァイス: トマス・ピンチョン全小説 (Thomas Pynchon Complete Collection)
LAヴァイス: トマス・ピンチョン全小説 (Thomas Pynchon Complete Collection)
- 作家
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2012-04-27
- ISBN
- 9784105372118
LAヴァイス: トマス・ピンチョン全小説 (Thomas Pynchon Complete Collection) / 感想・レビュー
sin
探偵はファンキーなヤク中野郎(ヒッピー)でテレビドラマのような盛り上がりと場面ごとの意外な出会い*都合の良すぎる偶然の関係*全編に流れるBGMが解らないもどかしさに見当違いのロックを流してみるがしっくり来ない。しかし作中ニクソンの「…これが自由のためのファシズムならどうでしょう。私は……それを……支持します!」の一言に時代の同一性を感じてしまう。そして選挙に投票しない(この国に関心を持たない)国民にとって今という時代は本当に大丈夫と言えるのだろうか?今の日本にダブらせて憂えてしまう今日この頃です。
2014/07/26
Aster
しっかり面白かった。競売ナンバー49の叫びの長編版という感じ?謎が謎を呼ぶ展開は作中の退廃的なヒッピー達の喧騒に上書きされて読者は迷宮の奥へと押し込まれる。ピンチョンに対する、冗長で衒学的なイメージはすっかり消え去ってしまった。ピンチョン2作目にして徐々にピンチョンが分かり始めてきた。ただの色物長編作家では断じてない。特に今作は競売ナンバーに比べてすごくまとまってる。読みやすい。何回も挫折すると思ったがいつの間にか読めてしまった。
2020/06/02
zirou1984
こんな切ないピンチョン知らない。山積みのガジェットの様に溢れた固有名詞とモクモクと立ち込める煙の向こう側に浮かび上がるのは過ぎ去った文化への追悼であり、高度化すればするほど個人の感情や繋がりがシステムへと回収されてしまう社会への抵抗の証だった。内在する欠陥とはマンソン、そしてニクソンを生んだLA文化そのものに他ならない。警官にはヒッピー崩れと罵られ、仲間からは刑事の小間使いと揶揄される―そんな探偵ドッグが無数の人々の一人として生きながら、誰も否定しようとしない奴なのって最高にグルーヴィだと思わないかい?
2015/05/15
サトシ@朝練ファイト
面白いし、一見軽そうに見えるが内容が濃くかなりの情報量だ。ピンチョンは初めて読んだが他の作品も手に取っていきたい。だけどもう少し上手く翻訳できねえもんかな。会話文が酷い。
2014/06/02
キク
著名な作家だけど、難解なことでも有名なピンチョン。僕も学生時代に「重力の虹」を挫折している。今回は「ピンチョンなのに読める」「入門編に最適」と評判の本書に挑戦。難しい単語はないし、メインストーリーはシンプルで難しい概念も出てこないのに、どうしてここまで読みづらくできるんだろう。正直、ピンチョンという金看板がなければ、絶対途中で投げ出していた。原因と結果の因果関係が切断されていて、心理描写はほぼ無い。今回の最大の感想は「これで僕も『ピンチョンを読んだことのある男』になったんだな」です(初めての飲酒みたいだ)
2021/03/13
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