KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

五月の雪 (Shinchosha CREST BOOKS)

五月の雪 (Shinchosha CREST BOOKS)

五月の雪 (Shinchosha CREST BOOKS)

作家
クセニヤ メルニク
小川高義
出版社
新潮社
発売日
2017-04-27
ISBN
9784105901370
amazonで購入する

五月の雪 (Shinchosha CREST BOOKS) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ケイ

クレストブックを読む前には、帯とか裏表紙とか一切読まないと決めている。読む前に知りたくなかったなということが少なからずかかれていたりするから。今回だけは読んでいたら良かったな。ロシア作家にしては…の違和感の正体はこれだったのか…。彼女が自分のルーツを思い、残すべきだと思ったことたちが描かれている。ロシアからソ連への流れ、ジュンパ・ラヒリを思わせるアイデンティティの捉え方、独特な郷愁感。期待したロシア女性作家の毒みたいなものについては、肩透かしだった。

2021/01/25

藤月はな(灯れ松明の火)

ロシア極東の小さな町マガダンを巡る住人達の物語。「この物語の雰囲気に似ているようなのを誰かの本でも味わったような・・・」と思っていたら、読書人さん達の「ジュンパ・ラヒリみたい」という言葉に納得。翻訳者も小川高義氏ですしね。まず、「イタリアの恋愛、バナナの行列」で引き込まれました。突然のナンパや引き留めると思っていた親戚が勧めた事で浮き足立つ女性の心理の描き方が絶妙。ラストの皮肉もこの世の事象の本質を捉えているようで見事としか言えない。そして手に入れたい物の羅列に生活感や家族への愛も感じるのも良い

2018/01/04

aika

季節が移り変わっても、降りつづける雪のように、人びとの心と人生に、かつてスターリンの時代に強制収容所だったという哀しい過去を持つ極東の街マガダンが、薄暗い陰をつくります。連作短編のようなつくりで、どれもがほろ苦い人生の悲哀のようなものを帯びていて、切なさと郷愁とでいっぱいになります。それでも、なぜだか人生を愛したいなあって、そう思えます。抗おうと受け入れようと、目の前の生活をある意味で淡々と生きていく人びとのもつ耐性はロシア的で、すごく好きな作風です。クセニヤ・メルニクさん、追いかけたい作家さんです。

2017/06/08

りつこ

ロシア極北の町マガダンの過酷な暮らし。物資も娯楽も少ない中で楽しみや希望をつないで生きている人たち。一方、そこを飛び出して海外へ移住した人たちも決してすべてにおいて恵まれているわけではない。自分の中に沁みついた故郷を取り出したり目をつぶってなかったことにしたりしながら、やはり孤独を抱えて生きている。苦い物語も多いが、ソーニャという少女(作者自身に重なる部分が多い)の希望に満ちた視線が救い。短編だけれど登場人物が重複する作品もあり、視点を変えて見る面白さもあった。

2017/06/04

キムチ27

一番古いのは1958、新しいのは2012。概ねロシアよりソ連とも言うべき空気が描かれる。筆者が素敵な女性であることに驚いたのは文章、描かれる場面、大半は女性の感情の全てが軽そうで重く乾いている為。装丁の可愛らしさとは裏腹に、読みながら逃れようもないじっとりとした疲れを感じた。呟かれる格言が呪文のように楔となっている。何とも言い難い感がある「イチゴ色の口紅」~スターリンが死んで食べ物が出回るようになった時期の3姉妹の次女。結婚を通して見えた人生を祖母が教えてくれた格言でなぞる。先週読んだロシア女性の話

2019/09/30

感想・レビューをもっと見る