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謎とき『風と共に去りぬ』 (新潮選書)

謎とき『風と共に去りぬ』 (新潮選書)

謎とき『風と共に去りぬ』 (新潮選書)

作家
鴻巣友季子
出版社
新潮社
発売日
2018-12-26
ISBN
9784106038358
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謎とき『風と共に去りぬ』 (新潮選書) / 感想・レビュー

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パトラッシュ

『風と共に去りぬ』は見てから読むのがデフォなので、原作と映画の違いなどまず注意しない。なのでヴィヴィアン・リーや<タラ>の家は原作の描写からは遠く、無知が目立つスカーレットではなく優秀で勘の鋭いメラニーこそが真のヒロインであり、後半では両夫婦ともセックスレスの状態にあったなどと言われては、映画のイメージが正反対になってしまう。しかも大衆文学呼ばわりされたミッチェルの文体は技法に駆使し、技術的に映像化は難しいとわかっていたと作者の手紙を引用して論証するなど、従来の読みを一新する新しい読み方に満ちているのだ。

2023/07/19

さつき

『風と共に去りぬ』は中学生の時に出会い夢中になって読んだ作品。当時は繰り返し読みました。祖父母世代にとっては敗戦後に観た映画として印象深かったみたいで、よくその話しをしたことを懐かしく思い出します。一方で、あまりに豪華な映画の世界に違和感を抱いていたので、色々な疑問が解き明かされた思いです。メラニーがどこまで気づいていたかは、私も長年の疑問でしたが、アシュリについては、あまり注意を払ったことがなかったなぁと気付かされました。大人になった今読むと、また違った面が見えてきそうです。

2019/08/14

ころこ

奇を衒った謎ときではなく真っ当な改題です。何より映画を観て、出来たら新潮版全5巻を読んだ後が本書を十分味わえます。著者は翻訳を単に異なる言語に移す行為ではなく、あるまとまりとして理解して、そのまとまりごと異なる言語で表現する行為だと捉えているようです。作者のジャーナリストという出自に影響を受けた現在のアメリカ社会にも通じる政治問題、激しさをもったスカーレットの原型ともいえる作者の祖母と南部における家系の問題、スカーレットとレットの夫婦関係のリベラルさ、レットとメラニーとの関係など、手堅い解釈をしています。

2021/02/24

縄文会議

翻訳者だからこそ気づくような文体のことや、歴史的なこと、作者の家族のこと等、本作への知識が補完されて楽しい。パンジーの話面白かった。メラニーが鍵というのはうっすら思ってたけど、バトラーと母との関係には気づいてなくなるほど。「ビッチ型ヒロインはなぜ嫌われないのか」「長い、長いノリツッコミ」なんて見出しも楽しい。私の好きなウィルが「映画に出てこないがおいしい役どころ」とあるの嬉しい。アシュリへの考察も面白い。レットの最後のセリフって有名だったの知らなかったが、確かにかっこいい。面白かったです。

2023/07/20

Prince of Scotch

興味深く拝読。小説『風と共に去りぬ』が空前のベストセラーとなり、映画化されるまでの経緯についてほとんど知らなかったので心の中で「へえ~!」と言いながら読み進めた。新潮文庫版で全5巻の大作を3時間強の映画にしてしまうのだから、巷間言われているラヴロマンスの映画と捉えられても無理ないかなぁ、なんて思った。この物語の醍醐味を十分に堪能したければ、やはり小説にあたるべきだろう。スカーレットやレット・バトラーなどの主要登場人物ばかりでなく、脇役にも魅力的な人物が綺羅星のごとく登場してくるので。

2021/01/06

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