日本人のための世界史入門 (新潮新書 506)
日本人のための世界史入門 (新潮新書 506) / 感想・レビュー
月讀命
世界史の勉強をしたくなって、先だって読んだ山川出版の詳説世界史の教科書とは趣が全く違う。史実が並べられているだけではなく、文章の中に著者の主観が満載で興味深い。歴史的な事象を多くの観点から捉え、関連する知識をフンダンに散りばめており、文体は、悪口や嫌味、皮肉っぽく書かれているところが散見され、ショーペンハウエルみたいで好きだ。日本人のための世界史入門とあるが、私の様な世界史音痴がいきなり読むのにはやや難しく、世界史の教科書を一読し、何となく歴史の流れを知ってからこの本を読んだ方がいいような気がした。
2014/02/07
harass
よく読むこの著者の気になっていた本をようやく借りる。題名と内容にいつものようにズレがある。世界史の薀蓄本。以前から感じていたこの著者の本独特の印象の正体がやっとわかった気がする。ようするに、「史観」を排しているのだ。だから、事実だけを語ろうとするので、まとまった印象がない。誠実さを極めた一種のスタイルだろう。まあ、著者の一言多いところはサービスみたいなものだが。著者の言うように、歴史学者の論じる正確な細かい知識よりも、歴史小説のような大雑把な知識だけで一般人には必要充分であるとする主張はもっともだ。
2017/12/19
岡部敬史/おかべたかし
《フランス語では歴史も物語もイストワール(histoire)である》という一節を発見。企画の芽になりそう
2017/09/04
Y
大真面目に世界史のことを知りたい…!と考えて本書を手に取った人はがっかりすると思う。著者が思いつくままに好き勝手世界史についてしゃべくるという感じのスタイルで、はっきりいって雑多。けれど、随所に挟まれる小谷野さんの小言が、癇に障る人もいるかもしれないけど個人的にはおもしろかった。宗教をその外部にいる者が学ぶことの滑稽さについて述べていたのが印象に残ってる。
2013/12/17
ヨーイチ
小谷野敦に親しんだ人なら「なるほど」って感じだけど、知らない人にとっては異色の歴史本かも知れない。テキパキと要点を列挙して、独特の脱線が楽しい。後書きで述べている様に「(歴史は)専門家では無いのだから大体でいいんです」って実はなかなか言えないよなぁ。例えると理系の学部で選択科目の歴史の講義って感じかなぁ。先生も学生もやる気が無くって、ぬるいけど、たまの脱線話で眠気が覚める。その癖「コレくらいは知っといてくださいね。恥を掻きますよ。」って圧力が微妙にあるような。続く
2016/02/22
感想・レビューをもっと見る