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書きたい人のためのミステリ入門 (新潮新書)

書きたい人のためのミステリ入門 (新潮新書)

書きたい人のためのミステリ入門 (新潮新書)

作家
新井久幸
出版社
新潮社
発売日
2020-12-17
ISBN
9784106108891
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「書きたい人のためのミステリ入門 (新潮新書)」のおすすめレビュー

ミステリで嘘をついてはいけない箇所とは? 構造から知るミステリ作品の魅力

『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸/新潮社)

 いつの時代も根強いファンのいるミステリ作品。その構造に迫った一冊が、活字に関わってきたベテラン編集者による『書きたい人のためのミステリ入門』(新井久幸/新潮社)だ。本書を片手にさまざまな作品にふれれば、普段読んでいるミステリ作品を今より何倍も楽しむことができる。

■読者を引き付けるために欠かせないプロローグ  ミステリ作品に欠かせないものは「事件」だ。ただ、のっけから闇雲に分かりやすい事件が起きて、尻すぼみになっては面白くない。かといって、延々と何も起きなければ「これは本当にミステリなのか?」と、読んでいるこちら側も不安になってくる。

 それを解決するのが「プロローグ」だ。事件の“匂い”をただよわせながら、舞台設定や登場人物の紹介も兼ねるのがプロローグの役割で、本書によると、たいていの作品では読者に対する「引き」や「つかみ」を作るために機能しているという。

 多くの作品で冒頭にショッキングな場面が描かれるのは「もうちょっと読むと、こういう事件が起きますよ」と知らせるため。そこから先でしばらく何も起…

2021/2/11

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書きたい人のためのミステリ入門 (新潮新書) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

徒花

まあまあよかった。ミステリの賞の選考に携わる編集者がさまざまなミステリ作品をネタバレにならないように引き合いに出しながら、ミステリとはそもそもなにか、おもしろいミステリとはなにか、どうすればそのようなミステリが書けるのかを一冊にまとめた本。あくまで編集者として客観的な立場から述べられているので、体系だてられていて読みやすい。読みたくなったし、書きたくなる

2021/05/05

黒瀬 木綿希(ゆうき)

ミステリとして以外にも頭に叩き込んでおきたい言葉が多く、非常に参考になりました。読者の方は基本的に親切ではないから著者の意図には殆ど気付かない。書いている本人が「これはくどいかも」と思ってさりげなく張る伏線も同様なので分かりやすいにも程があるくらいで良いみたいです。  p121.「動機に限らないが、登場人物の複雑な心理を、疑いの余地なく万人に納得させるのは、そもそもが無理な話なのだ」 肝に銘じます。

2021/07/31

パトラッシュ

従来この手の本は実作者か評論家が書いてきたため、書くためのノウハウ紹介に重点が置かれてきた。多くの新人の作品を見てきた編集者による本書は、新人賞応募を前提に書きたい人が何を頭に入れて先行作品を読めばノウハウを習得できるかを説く。フェアな謎、伏線と推理という基本から読者の注意を惹く設定と執筆時の注意点まで「この本を読めば」と例を挙げていく。それにより応募者がミステリの「お約束」を踏まえた「もっと面白い」作品を書くよう誘導しているのだ。自己流のやり方が染みついた既成作家も、改めて基礎を学び直す参考書になろう。

2021/03/14

へくとぱすかる

過去の作品を論じるのではなく、未来の新作に期待してミステリの書き方を教えてくれる、編集者目線で書かれた入門書。この点で類書がないことが圧倒的。もちろん過去の作品を例に出して、ミステリのツボを指摘しているので、それも楽しめる。文学史を振り返る本ではないので、例に出す作品の選択は、21世紀向きにできていると思える。例によって、うっかり熟読するとネタバレになりそうな箇所もあるけれど、そこは流して読むとセーフ。とにかく独断に陥らないで、あくまでも読者目線で、期待に応える作品を書くのが一番なんだろうなぁ。

2021/02/08

HANA

長年ミステリ新人賞の下読みをしてきた著者が紐解くミステリの書き方。とは銘打たれているものの、書く人にとってだけではなく読む側にとっても非常に参考になる。ミステリを構造的に分解、解説して、気を付けるポイントが書かれている為、今まで読んだミステリに当てはめて考えるのも面白いかも。特に連城三紀彦「花虐の賦」を例に挙げて分析した部分は、自分もこの作品「戻り川心中」と共に初めて読んだ時に世界が逆転する衝撃を受けたので、非常に嬉しく読めた。巻末の引用作品一覧も興味深く、またミステリを片端からい読みたくなる一冊でした。

2023/05/10

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