KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

開高健全集 第3巻

開高健全集 第3巻

開高健全集 第3巻

作家
開高健
出版社
新潮社
発売日
1992-02-01
ISBN
9784106452031
amazonで購入する

開高健全集 第3巻 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ドラマチックガス

「ロビンソンの末裔」だけ読む。相変わらず、この人の文章のわかりやすさ、明快さはなんなんだろう。北海道に移り住んだ者として、ここまで苦労して開拓してくれた土地に何の苦労もなく住みつき、暖房のきいた部屋でこの本を読むことに申し訳無さを感じた。途中から全く出てこなくなった息子さん、久米田さん、開拓民のために最前線で戦い大きな成果を挙げたのに抜け殻になってしまった畳屋さんなど、その後が気になる人が多すぎる。そして終章ハッピーエンドに向かったと思いきやの締めの一言。何から何までお見事。

2021/12/22

あかふく

『ロビンソンの末裔』ほか、短篇として「一日の終りに」「白日のもとに」「流亡記」「屋根裏の独白」「街と部屋で……」「穴」を収録。「穴」はたぶんはじめて釣りを「小説」にしたもので、かなり軽い読み物になっている。その他の作品で見られるのは労働の問題で、それが常に監視下におかれたものとして書かれている。「なまけもの」からそれは発展してきている話題で、おそらくそれをより自分の経験に近づけてきたところに本巻の作品の特徴(ベトナム戦争以後につながっていくような)がある。「屋根裏の独白」は『輝ける闇』とおなじ形式を使う。

2013/07/12

niki

『ロビンソンの末裔』を読む。最初から引き込まれる。自分が上野駅にいるよう。北海道に到着してからも苦労しかない。貧困、不衛生、汗、飢え。売れるモノは全て売る。子どもは毎日ぼーっとするしかない。絶望だけがひしひしと伝わってくる。開高健はどうして北海道開拓について書こうと思ったのだろう。ラスト「死にはしないがまったく生きていません。」とあるが主人公はよくやっていると思う。今を少しでも良くするためにどうすればいいか考え、周囲を巻き込みながら行動に移している。大切なのはそれを持続させること。いつか力を失ってしまう。

2022/08/13

感想・レビューをもっと見る