熊を放つ
熊を放つ / 感想・レビュー
たびねこ
長い間積んであったアーヴィングのデビュー作。村上春樹訳。理想と現実の間をさまよい、人を傷つけ、自ら傷つき、ボロボロに疲れ果て…まさに青春小説。動物園の動物を放つ、という荒唐無稽な行為が、そこにシンクロする。若さがにじみ出る(ときに冗漫な)筆運び。後に「ガープの世界」へと至る、作者自身、青春のさなかに書いた作品は、奔放が魅力か。
2020/11/16
ゆれる
アーヴィングの著作なかで一番好きな本。読むのは五度目か六度目か。 はじめて読んだ二十歳くらいの頃のように、ついダックジャケットを買ってしまうくらいわくわくすることはもうないけれど、この本の隅々に溢れるすがすがしい「心持ち」のようなものはいまもぼくの魂の背筋を伸ばしてきれる。(魂に背筋があったとして)。あと、読むたびにうっかり塩入れを盗みたくなるのだけは今も変わらない。
2012/06/06
斑入り山吹
最初は『オン・ザ・ロード』みたいな話になるのかと思ったら動物園になって、それから戦争話になってしまった。たしかに話がどこに行くのかわからないスリルがある。村上氏がまいったのも分かる気がする。ちょっと疲れたけれど、なかなか面白かった。しかしこの本を読んで大いに幻滅したのである。いや、この本に対してではなくって、村上氏の小説に対して。オマージュというよりもうパクリ!?彼の小説を読むか翻訳を読むか、二者択一でないとわたしは耐えられないな、と思ってしまった。
2012/08/04
Maumim
村上春樹翻訳、という理由で手にとって読み始めたものの、ロードムービー的な進んでいるようないないような流れに先行き不安になりながら、第1部から第2部へと突入し、ふと気づくと物語の中にいつのまにか入り込んでいた。第2次大戦の東欧の状況が知識としてあれば申し分ないが、わからなくてもわからないなりに、第2部で巻き込まれる。そして、第3部は再び・・・。物語の中に、意味を見出そうとするとはぐらかされてしまうような、そもそも意味を求めることに意味がないのか・・・。再読するには、あの第1部が重たく立ちはだかるのだった。
2011/02/26
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
村上春樹訳
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