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はるかかけら

はるかかけら

はるかかけら

作家
高崎卓馬
出版社
中央公論新社
発売日
2012-05-24
ISBN
9784120043819
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はるかかけら / 感想・レビュー

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コットン

唯一共通する青い石ブルーガーネットを軸にした4編の中短編集。この本を知るきっかけとなったのは向井理さんが一人で演じていたネットラジオの話が非常に面白く又上手く聞かせてくれていたから。(この本に入っている『グレープフルーツムーン』を脚色して全十話となっていた。)表題作とグレープフルーツムーンが良かった。他の作品も含めてハッピーエンドでは無いものの、映像が浮かんでくるようで興味深かく読みました。

2021/11/05

kana

電通で数々の名作CMを手がける著者による「ブルーガーネット」という石を軸に据えた4作を収録する短篇集。これがもう本当に質の高い純文学でなぜ文庫化されてないのか謎です。しかも作品ごとに主人公の性別年齢国籍まで多様すぎて水牛女と地軸の傾いた星が出てくるSFまであって、1作1作読み始めてはその世界観に驚き、読み終えてはその深い余韻に浸れます。通底するのは人間の命の儚さと距離と時間を超えて存在する鉱石の普遍性と、そのギャップに翻弄される人々の苦しみ。ハッピーエンドとは到底言えないけどこのビターな感じがとても好み。

2021/02/07

しろ

☆8 オリオン書房で推薦されていた一冊。知らない作家さんだし真っ白でつかみどころのない装丁だが、とても素敵な作品が4編詰まっていた。戦争により引き離されるが確実に在った強い戦時中の恋、兄と妹と母の強い絆がたどる悲劇的な運命を描いたインドでの出来事、同じ男と二度すると死んでしまう種族との恋を秀逸なSF要素で描いた2246年の宇宙社会、歳の差での恋のある盆栽教室、どれもこれも統一感がないようだが不思議と一冊として読める。寂しい雰囲気の中の想いの温かさ、大きな世界に立ち向かうのは小さな人間の一つの心と感じた。

2013/01/27

まめ

日本の戦時中、時代は不明ですがインド?の貧しい村、国は不明ですがはるか未来、そして現代の4編からなる短編集です。共通するのは青い珠玉(ブルーガーネット)。その魅力ある石に振り回され翻弄される者、縋りよすがにする者、みんな宝石に魅せられていきます。特に良かったのが未来を舞台にしたものでユニークな設定が人物やマシン、世界観にみられてとても面白かったです。水牛の娼婦とか2回同じ人と性交をもつと死んでしまう女性とか、もっとこの世界観での冒険の話が読みたくなりました。

2012/11/20

東隆斎洒落

「はるか」とは、祖母の火葬の場面から、祖母の若かりし太平洋戦中に時は遡り、そして現代に戻る、「遥か」なる時間軸。 「かけら」とは、祖母の遺骨の中から出てきた幻の石「青い珠玉(ブルーガネット)」。 ・・・というのが私の解釈。 祖母の葬式を認識できない認知症の祖父は、実の祖父ではなく本当の祖父は認知症の祖父の兄。兄は沖縄戦に参戦、そこで見つけたブルーガーネットを結婚間もない祖母に送り戦死。その石を片時も離すまいと飲み込んでしまう祖母。そして祖母の死後、認知症の祖父はその石を・・・何だか時を超えて切ない読後感。

2012/09/23

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