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ポースケ

ポースケ

ポースケ

作家
津村記久子
出版社
中央公論新社
発売日
2013-12-09
ISBN
9784120045752
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ポースケ / 感想・レビュー

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修一郎

「ポトスライムの舟」もそうだったけど,様々な事由でうまくいっていない人たち,でも何とか折り合いをつけて生きていこうとする人たちに共感してしまう。じんわりと沁みてこれがすごく良いのである。「近くにいる人間を精神的に餌食にする」パワハラに対しては津村さんの目はやはり厳しいのだ。9篇ともよかった。中でも「歩いて二分」がよかった。「えらい人は八喜三憂ぐらいに調整できてるのかもしれないけど,シモジモの者は一つ一つ通過して傷ついて片付けていくしかないのだ。」うんうん,その通りだ。。。

2017/02/18

めろんラブ 

津村さんの作品は凪のよう。それは、市井の人々の日常を淡々と描いているから。賑やかで起伏に富んだ内容を好む方には退屈かもしれない。だが、地に足の着いた視点で切り取っているのは、ごく普通の暮らしに脈打つ実に豊穣な生だ。さて、本作は『ポトスライムの舟』の続編とされるが、前作を未読でも無理なく入り込めるのでは。登場人物各々の抱える痛みは決して軽いものではないが、そこは凪の匠・津村さん、ユーモアを交えてさらりと描きつつ心に染み入る作品に。物語のスパイスである”ポースケ”の粋な脱力具合を祝祭的な扱いにした手腕に拍手。

2014/07/18

なゆ

奈良のカフェを軸に、そこに集う女性たちのいろいろ悩ましく結構大変な日常を描く連作短編。お互いはそんなに強く関わりあうわけではなく、でも気には懸けてるくらいのゆるい関係が心地よい。ノルウェーの復活祭〝ポースケ〟を、カフェでもやってみようとなるのだけど、「盛り上げよう!」とか熱くならないんだよな…でも最後にはいい感じに開催されて、それぞれの前向きな一歩も垣間見えるという、なんか、ああやっぱ好きだわ津村さんの話って。就活でボロボロになり果ててゆく娘をそっと切実に見守る母親の話「亜矢子を助けたい」が心に残った。

2013/12/27

hiro

津村さんの作品は『ポトスライムの舟』に次いで2冊目。『ポトスライムの舟』の5年後の話ということで読んだ。前作の主人公と今回の主人公も当然いっしょだと思っていたので、最初は混乱した。しかし、前作の主人公がこの作品にもでてくるナガセだと気づき、初めて前作と話がつながった。関西に住む者には、近鉄奈良線沿線のリアルな地名がでてきて、話がより身近に感じられた。悩みをもっている女性達のそれぞれの話は、結構重かったが、最後の「ハタナカ」のポースケに集まる誰もが前向きになっていてほっとする。また5年後に続編を期待します。

2014/06/08

優希

面白かったです。とあるカフェで働く普通の人々の織りなす日常にほっこりしました。時に悩み、時に笑う、そんなリアルな世界だからこそ、この小説の味わいがあるように思います。地に足がついているようで現実逃避している、そんな感じでしょうか。

2017/08/22

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