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天盆

天盆

天盆

作家
王城夕紀
出版社
中央公論新社
発売日
2014-07-24
ISBN
9784120046346
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天盆 / 感想・レビュー

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mocha

架空の国〈蓋〉ここでは将棋に似た〈天盆〉という盤戯を極めた者たちが国を動かす。安食堂の夫婦に拾われた凡天は幼くして天盆の才を発揮し、思いがけず家族を苦難に陥れる。初めは血の繋がらない13人兄弟を始め、たくさんの登場人物と天盆の用語などが紛らわしくて手間取った。天盆が盤上のゲームに留まらず、人との関わり方や国情まで映し出すようになると、一気にラストまで読まされた。しかし、天盆は世界の縮図だと思ったのもつかの間、俯瞰すればそれすら小さな戦いを見ていたに過ぎないと気づかされる。家族の物語としても良い話だった。

2017/08/20

☆よいこ

YA。天盆(てんぼん)は将棋に似た盤戯(ばんぎ)で、12×12の盤に駒を置いて対決するゲーム。蓋(がい)の国は隣国の陳(ちん)に責められている貧しい小国。天盆を極めた名人が国を動かす為政者になる蓋の国では、皆が天盆を嗜み天盆士に憧れる▽少勇と静の夫婦に拾われた赤子は凡天(ぼんてん)と名付けられ、12人の兄姉の末っ子として育てられた。凡天は3歳で天盆を始め、天盆士を目指す兄の指導のもと、めきめきと技を磨く。天盆の為に字を覚え、天盆を楽しむ天才少年の物語▽将棋好きにおすすめします。家族の物語。良本

2023/01/03

のんき

盤戯「天盆」。貧しい食堂の子ども、10歳の凡天が勝ち続けます。そして歴史が動きます。母の静が、血の繋がりのない十偉に話すところが好き。「理由もないのに何が家族だって言ったわね。理由がなくて一緒にいてはいけないの?お金のために一緒にいるの?好きな時だけ一緒にいるの?得だから一緒にいるの?違うでしょう。理由がないから家族なの」凡天も強いし凄いけど、一人も血の繋がりのない凡天の家族の応援も見逃せません。凡天もそんな家族を信じていたのでしょう

2017/09/24

ううちゃん

天盆で国の指導者が選ばれるという架空の小国。捨て子だった凡天が天盆にひたすら向き合い、上り詰めていく。凡天が、士花が、静がいう「楽しい」とはなんなのだろう。自分の心のままに生きる凡天も魅力的だが、悩み苦しむ二秀や、一度家族に背を向ける十偉のほうがリアリティはある。なにより一番は少勇。「子の決断で命を捨てる覚悟はないのか」にやられた。道を極めた者同士の笑みを交わすシーンも印象的であった。

2020/02/02

007 kazu

舞台は架空の蓋という国。天盆という将棋を模した盤戯に強い貴族が政を行っている。13人の捨て子を育てる夫婦の元で末っ子の凡天が天盆の才覚に目覚め、平民の立場から頂上を目指す。その過程で家族の絆や虐げられるものの戦いが描かれる。短い切れのいい文章で展開が早く読みやすい。設定自体もそうだが少年漫画を読んでいるようだ。天盆の詳細なルールは作家も考えていないと思うのだが、その奥深さを文章力で表現している。全編を通じて各キャラクタの台詞が短くても重く読み応えあった。(続く)★4

2019/12/12

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