青と白と
青と白と / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
久しぶりの穂高さん作品でしたが、コレはヤバい。最初から最後まで、ここ最近ないぐらい涙腺緩みっぱなしの素晴らしい作品でした。東日本大震災をテーマに書かれた作品で、そのリアリティはもはや完全にフィクションの領域を遥かに超越しています。主人公はアラフォーの女性作家ですが、彼女を中心に家族、親戚とのつながりが涙なくしては読めません。生と死をこんなにもシリアスかつ穏やかに書き綴る作品は、あまり記憶になかっただけに余計にインパクトがありました。穂高さん作品なので期待していましたが、お見事で、読めて本当に良かったです。
2016/11/19
ゆみねこ
あの日から5年、宮城出身の作者が紡いだ渾身の1冊。この本を書きあげるまでの葛藤を読み手の私もヒシヒシと感じることが出来ました。今、私が住んでいる地域ご出身ということで、身近な場所が頻繁に登場します。昨日、私も追悼の意をこめて深沼海水浴場へ赴きました。風は冷たく空は青く波はまっ白でした。図書館で借りた本ですが、これは手元にずっと置きたいので購入したいです。
2016/03/13
machi☺︎︎゛
東日本大震災を書かれた本。仙台で生まれ育った悠は、今は東京であまり売れない作家としてバイトもしながら生活していた。東京で震災にあい仙台に行くもいつも見慣れた景色は無く壊滅的だった。親戚を何人か亡くし悲しみに暮れながらも、東京の人との震災に対する捉え方の違いに怒りよりも驚きを隠せない。小説だけどすごくリアリティがあって被災地の人達の気持ちが少し分かった気になった。お葬式の時の幕が黒と白じゃなくて青と白もあるなんて知らなかった。
2021/10/30
モルク
仙台出身で東京に住む小説家悠子。それだけでは生活できずバイトをしながら暮らしていた。そしてあの日、2011年3月11日を迎える。悠子、母、妹の3人の視点で描かれたそれからの日々。津波で身近な人々を亡くす。妻を亡くした夫、子供をなくした友人はあの時ああすれば…と悔やみ慟哭する。慰めてもその悲しみは軽くならない。そして被災地の人と、その他の人たちとの温度差を感じる。ずいぶん復興したと思う人と何も変わってないと嘆く人。復興五輪などと称したことが寧ろ恥ずかしい。10年経ってもまだ終わっていないのだ。
2021/11/09
名古屋ケムンパス
泣きながら泣きながら読みました。読みながら読みながら泣けました。被災者やその家族の気持ちに寄り添う難しさも感じました。主人公の小説家戸田悠は著者そのものの姿なんでしょう。親元の仙台から離れて暮らすもどかしさ、小説家として生きる難しさ、自らの健康の不安。大切な大切な身内や知人を喪った悲しみに、残された者の悲しみが折り重なって苦悩を募らせています。こうした困難を乗り越える切っ掛けを温かい故郷の「あんがと」の言葉と読者のお便りが与えてくれました。戸田悠は仲間を気遣う白鳥となって早春の大空に飛び立ったのです。
2016/06/24
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