盤上の向日葵
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「盤上の向日葵」のおすすめレビュー
藤井聡太だけじゃない! 映画『孤狼の血』原作者・柚月裕子の、快進撃を続ける「将棋本」とは?【本屋大賞第2位】
『盤上の向日葵』(柚月裕子/中央公論新社)
藤井聡太六段の快進撃、羽生善治竜王の国民栄誉賞受賞など、ここ最近話題に事欠かない将棋界。巷でも空前の「将棋ブーム」といった状況だが、実は本の世界でも快進撃を続ける「将棋本」がある。全国紙、地方紙、各種週刊誌など多くのメディアで話題となり、このほど2018年「本屋大賞の第2位」を受賞した柚月裕子さんの小説『盤上の向日葵』(中央公論新社)だ。
帯には「エンターテインメントとしての面白さ、迫力、文章力、文句なしである」との筒井康隆氏の力強い推薦コメント。異端の「天才棋士」をめぐる壮絶な人間ドラマを描くミステリだが、勝負の世界の厳しさと愛憎が混じり合うその展開は圧倒的で、将棋が好きかどうかに関わらずぐいぐい引き込まれる面白さだ。
埼玉県天木山山中で発見された謎の白骨死体。遺体の胸元には高価な美術品と変わらない価値を持つ将棋の駒・初代「菊水月」が一緒に埋められていた。なぜ名駒が? 遺体は将棋関係者なのか? 7組しか現存しない菊水月の駒のありかを手がかりに、叩き上げの刑事・石破とかつてプロ棋士を志していた新米刑事…
2018/5/18
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「2018年本屋大賞」決定! 大賞は辻村深月『かがみの孤城』 10位まで発表!
全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞 2018」の受賞作が決定した。
ノミネート作品10作品の中から大賞に選ばれたのは、辻村深月氏の『かがみの孤城』(ポプラ社)。 翻訳小説部門では『カラヴァル 深紅色の少女』(ステファニー・ガーバー:著、西本かおる:訳/キノブックス)が選ばれた。 ●2018年本屋大賞大賞受賞作 『かがみの孤城』(辻村深月/ポプラ社)
⇒辻村さんインタビューはこちら ⇒作品レビューを読む
●2位 『盤上の向日葵』(柚月裕子/中央公論新社)
⇒柚月裕子さん×ひふみんトークイベントはこちら
●3位 『屍人荘の殺人』(今村昌弘/東京創元社)
⇒作品レビューを読む
●4位 『たゆたえども沈まず』(原田マハ/幻冬舎)
●5位 『AX アックス』(伊坂幸太郎/KADOKAWA)
⇒作品レビューを読む
●6位 『騙し絵の牙』(塩田武士/KADOKAWA)
⇒関連ニュースはこちら
●7位 『星の子』(今村夏子/朝日新聞出版)
●8位 『崩れる脳を抱きしめて』(知念実希人/実業之日本社)
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●9位 『百貨の魔法』(村山早紀/ポ…
2018/4/10
全文を読む大賞はどの作品に!?「2018年 本屋大賞」ノミネート10作品発表!
2018年1月18日(木)、全国の書店員が選んだ一番売りたい本「2018年本屋大賞」のノミネート作品が発表された。
今年の「2018年本屋大賞」は全国の504書店、書店員665人の投票によりノミネート作品を選出。ノミネートされたのは以下の10作品。
■2018年本屋大賞ノミネート10作 (作品名五十音順) 『AX アックス』(伊坂幸太郎/KADOKAWA) 『かがみの孤城』(辻村深月/ポプラ社) 『キラキラ共和国』(小川糸/幻冬舎) 『崩れる脳を抱きしめて』(知念実希人/実業之日本社) 『屍人荘の殺人』(今村昌弘/東京創元社) 『騙し絵の牙』(塩田武士/KADOKAWA) 『たゆたえども沈まず』(原田マハ/幻冬舎) 『盤上の向日葵』(柚月裕子/中央公論新社) 『百貨の魔法』(村山早紀/ポプラ社) 『星の子』(今村夏子/朝日新聞出版)
大賞発表は4月10日(火)。詳しくは公式サイトをチェックしてみよう。
■本屋大賞公式サイト:https://www.hontai.or.jp/
2018/1/18
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盤上の向日葵 / 感想・レビュー
starbro
柚月裕子は、新作中心に読んでいる作家です。[柚月裕子×旬の将棋]で面白くない訳がない、560P超一気読みです。今年のBEST20候補、著者10周年記念作品だけあり、気合いが違います。大宮が事件の舞台になっているのも親近感が湧きました。私は将棋に関しては初心者なので、中級者以上だともっと本作を楽しめると思います。柚月裕子は、女松本清張かも知れません。
2017/10/12
ヴェネツィア
プロットも主人公も全く違うのだが、作品の表象する世界と読後の寂寥感は『砂の器』を思わせる。終始寒風が吹き続けるような趣きの小説である。物語の幕開けの舞台は天童市での竜昇戦(竜王戦がモデルと思われる)である。山形市に在住する著者だが、将棋に対する造詣は指南者がいたとはいえ、なかなかに大したもののようである。そして、500ページ超ありながら、一貫して緊張感を保ち続ける筆力もまた。ただ、タイトルにも選ばれている「盤上の向日葵」の意図はわからなくはないが、将棋とともに小説そのものを甘くしてしまったのは惜しまれる。
2022/07/07
鉄之助
気にはなっていたが、なかなか読めなかった1冊。藤井聡太の2冠達成を記念して手に取ったが、読みだしたら、面白すぎて一気読み。将棋の駒の銘品をめぐって、現在と過去が交錯しながら展開する上質なミステリーに仕上がっていた。事件を追う刑事二人のキャラクターが絶妙で、まったく飽きさせない。将棋界の「正統派スター」と「異端の革命児」の対決など、個性的なキャラクターの棋士が多い、現在の将棋界を予見するような筋立てもたまらなかった。
2020/08/23
zero1
【将棋界を舞台にした「砂の器」】に柚月が挑んだ550ページを超える力作。山中で見つかった遺体は高価な駒が一緒だった。駒を追う刑事二人。ひとりはプロ入りを断念した過去が。交互に描くのは後にプロ棋士となった過酷な環境にある少年の物語。柚月がどうしてこの作品を描くことになったか(後述)。賭け将棋で金を得る真剣師の存在と棋士たちの壮絶な戦い。愛されない子の存在理由と支える人の想い。将棋を知らない人のために【王と玉】も解説。読む価値はあるが欠点も(後述)。18年本屋大賞2位。19年NHKーBSでドラマ化。
2020/02/05
パトラッシュ
柚月裕子版『砂の器』か。世間的には成功した人物の隠したい過去と、彼の絡んだ事件を追う刑事が少しずつ交差していく構成は似ているが、母が早世し虐待した父親に成長後たかられる息子の物語は『銭ゲバ』を連想させる。蒲郡風太郎は誰にも救われず犯罪に走るが、本作の主人公は信じられる人がいたおかげで正道へ進めた。しかし救われるきっかけとなった将棋への情熱故に思わぬ世界を知り、破滅へと突き進む。運命に翻弄される男たちのドラマは面白いが、社会の矛盾や痛みとの関りは薄い。父親が虐待する原因もとってつけたようで今ひとつだったか。
2020/11/09
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